図書館でたまたま、『英文解釈考』という古い本を手に取ったんだけれど、その「はしがき」でやられた。こんな凄い文章をまさか英語の参考書の初っ端で読まされると思わない。 どうしても書かずには気がすまなかったというのが本音である。格好の材料が目の前に鎮座ましましていたから。その昔、まだ学校で英語を勉強させてもらっていた頃、申訳ない話だが授業の方は少々なおざりにして自分の好みにまかせて英語の本を次々と息もつかず読み耽っているうち、こうして本を読破して行くこと自体は愉快だがどうもこのままでは何だか頼りないと感じ出し、ノートをとることを始めたのであった。ちょっとした言葉のひねり方にも一々感心して書き留めるという甚だ幼稚な時代であったが、それでも何年か経って戦争がたけなわになり、わたし自身も二度目の軍服を着せられた頃には、大学ノートで優に20冊、細かい字でびっしり書き入れられていた。それがいよいよ、東京、