某解説書にはこんな記述がある。 「ローマが弾圧した宗教は、キリスト教とディオニュソス教のみである」 キリスト教が弾圧を食らったのはローマも帝政が確立されしばらくの時期であるから、実質、紀元前の古代信仰でローマが唯一弾圧を行った宗教はディオニュソス教のみと言えるだろう。 しかも、ディオニュソスはローマ人が自らの神話の模範としたギリシア神話の神である。 この一時からも、ディオニュソス信仰がいかに特質的かが伺える。 このディオニュソス信仰がなぜ弾圧を食らったのか、という問題は難しい話ではない。 ディオニュソス信仰は、社会が強要する法や理性による束縛から自我を解放することに主張の旨をおく。 個人主義の台頭や治安の悪化を招くこの考えを、為政者が喜ぶはずがない。 事実、ディオニュソス教は大々的に広まると治安上無視できない影響力を持ってしまいがちだった。 さて、このような信仰が生まれた