中国共産党はこのところ欧米、特にアメリカを繰り返し批判してきた。冷戦的思考に縛られて米中関係を損ない、アジアにおける安全保障を弱体化させている、と。しかし先日ネットに流出した中国側のプロパガンダ映像によれば、実は冷戦こそ党にとって必要で欧米との接触は毒薬に等しいと考えているらしい。 少なくとも党内の保守派はある程度同じ考えのようだ。党はこのところ欧米の価値観や文化が中国社会に及ぼす悪影響について警告し、対抗措置として規制を強化している。 問題の映像『較量無声(声なき戦い)』は中国国防大学や人民解放軍総参謀部、中国社会科学院などが共同制作したドキュメンタリー。制作責任者には国防大学の劉亜洲(リウ・ヤーチョウ)政治委員(党の「八大元老」の1人だった李先念(リー・シエンニエン、元国家主席の娘婿)や王喜斌(ワン・シーピン)校長らが名を連ねている。 興味深いのは劉が10年に人民解放軍のシステムをアメ