「学習障害」とは、端的にいえば読み書きの能力や算数の計算などに関する発達障害のことである。脳に神経障害があるため、健常者であれば無理なくこなせる読解や計算などが思うようにできないわけだ。 多くの人にとって、それはいまひとつ実感の持てないことかもしれない。だが現実的にそういう人もおり、ましてや特別なことでもない。健常者がいるのと同じように、学習障害を持つ人もいる。それだけのことだ。ただし、だとすれば学習障害について多くを知らない私たちは、少しでも知識をつける必要があるだろう。それこそが、本当の意味での多様性なのだから。 そういう意味で、『霧のなかのバーバラ 学習しょうがいを克服した女性の物語』(片山恭一著、文芸社)は学習障害について知るための格好のテキストになるかもしれない。なかなか理解されにくいこの障害を抱えながら育ち、苦難の末に克服し、自ら脳を鍛えるシステムを提唱し、「アロースミス・スク