ドリーと名付けられた恐竜は、呼吸器系の疾患にかかり、咳や呼吸困難、鼻水、熱、体重減少などに苦しめられていたと考えられている。(ILLUSTRATION BY WOODRUFF ET AL. (2022) AND CORBIN RAINBOLT) その恐竜はきっと惨めな思いをしていたに違いない。熱、咳、鼻詰まりに苦しめられ、命を落としていた可能性すらある。およそ1億5000万年前のジュラ紀に、そんな証拠を骨に残した恐竜の化石が見つかった。 2018年、米モンタナ州グレートプレーンズ恐竜博物館の古生物学者キャリー・ウッドラフ氏は、竜脚類のディプロドクスに似た若い草食恐竜の化石を調べていたとき、奇妙なことに気付いた。空洞になった首の骨のなかに、ブロッコリーのような突起部があったのだ。この化石には、「ドリー」という愛称がつけられた。 「これまで竜脚類の椎骨をたくさん見てきました。なかにはかなり変わ