<40代後半で、高校教師からバスドライバーへ。人生の選択はさまざまな経験をもたらす> 人生の要所要所において、人はさまざまな選択をする。自分で決めたことであるならば、その先に続く道筋は本人が望むものであるはずで、誰にも異を唱えることはできない。 しかしそれでも、『バスドライバーのろのろ日記』(須畑寅夫・著、三五館シンシャ)の著者が選んだ道は、多くの人の予想を超えるものではないだろうか。なにしろ社会科を教える私立高校の教師の職を捨て、40代後半でバスドライバーになったというのだから。 おそらくは年収が下がるであろうことは想像に難くない。事実、トータルの労働時間としては高校教師時代よりもきつくなったそうだ。 家族を養っていかなければならない立場であったから、収入を度外視することはできなかったが、それでも私にとってお金はあまり大きな問題ではなかった。なぜなら、私にとって「バスドライバー」は小さな