・はじめに〜漫画家が「原稿を渡して終わり」の時代は終わった 2019年、ゴールデンウィーク。世間が10連休の中、東京都心の某マンションに売れっ子漫画家が続々と集まってきます。〆切に追われる先生方が一堂に会するのは、かなり珍しいこと。こんな状況が実現したのは、「漫画家・製版勉強会」が開催されたからでした。 “製版”とは、なんぞや――。多くの漫画家、そして編集者ですら、そのプロセスをよく知りません。漫画家は編集者に原稿を渡し、編集者はその原稿を印刷所に渡す。その「先」で何が起きているのかは、知らなくてもなんとかなる。いや、なんとかなって来たのが、これまでの漫画業界でした。 しかしいま、漫画制作にデジタル化の波が押し寄せる中、このプロセスを知らないゆえの不都合が起き始めています。漫画を描く手段が増えるのはいいことですが、そのことによって、原稿の中身がバラバラになるという弊害が出ています。手描き原