安倍政権下での生活保護費の大幅な減額に、これまでになく厳しいノーの判決が突きつけられた。政策決定の過程を丁寧に検証して厚生労働省の恣意(しい)的な対応を指弾しており、納得できる内容だ。憲法25条の生存権にかかわる制度を軽んじる行政への警鐘と受け止める必要がある。 名古屋高裁が先週、2013年から段階的に行われた生活保護の基準引き下げについて、減額処分の取り消しと国家賠償を命じる判決を言い渡した。客観的合理的根拠のない手法を積み重ねて減額率を大きくするなど、違法性が大きいと断じた。 同様の裁判は全国で30件あり、すでに一審判決が出た22件のうち、引き下げを違法とした判断が12件にのぼる。控訴審では、4月の大阪高裁は一審判決を覆して引き下げを適法としたが、2例目の今回は違法としたうえ、初めて国の賠償責任も認めた。 今回の判決が問題視したのは、減額の二つの手法だ。 まず、一般低所得世帯との比較を