最近、WSJ.でビリーが子どもの頃から大切にしているものをあげていたのだが、その中の一番が「ミニカー」だった。これほど彼女を象徴するエピソードもない。幼少の頃から好きなものを好きでい続け、17歳になっても好きだと言えること。しかもそれが、ステレオタイプな見方からすればティーンエイジャーの女の子にとっては珍しい「車」だということ。その、何ものにも縛られない自由が、楽曲に、スタイルに、他人に見せる生き方に直結しているという奇跡。それがビリー・アイリッシュというアーティストの凄さである。 他者からの目線や評価においていくつものスタンダードが存在しそれが公に晒されもし、一見シームレスだがあちこちが分断されている10年代において、彼女のように、彼女の楽曲のように、屈託なくまっとうであることがいかに難しいか。世代に拘らず私たちの多くがそれを知り、諦めてもいる。彼女がティーンエイジャーのカリスマに止まら