「辺境」はいつの時代も、構造的に生じる様々な矛盾や逆説を一手に引き受けざるを得ない運命にある。近代の国民国家化が「中央」から始まったものである限り、国家形成の途上でマージナルな領域は不可避的に出来てきてしまう。「辺境」は、国民国家という共同体が人と領土を囲い込んで成り立つものである以上、なくすことはできない。 こうした「辺境」は、国家にとって遠心力として作用する。ヨーロッパでも、スペインのカタロニアやバスク地方、フランスのブルターニュ地方やコルシカ島、旧ソヴィエトのクリミア半島など、文化的・歴史的アイデンティティをベースに分離独立の主張がなされるのは、その国々の「エッジ(端)」に位置する領域である。イギリスのスコットランドもグレートブリテン島の北部に位置し、イングランドと独立戦争を戦ったが、かの地でも2014年9月に独立をめぐって住民投票が行われたことは記憶に新しい。 日本は、島国であると