2008年に日本語版の初版が売り出され、この書評を書く2023年時点ではすでに15年以上が経過していますが、本書の価値は全く色あせていないし、むしろ価値は増している気がします。本書は未来の人類から見た21世紀の歴史書という位置づけですが、大まかなストーリーは以下の通りです。まずアメリカ帝国の終焉のはじまり。そして「超帝国」時代(第一波)を引き起こしていきます。「超帝国」とは国家の軸を超えた地球規模の市場原理によるガバナンスです。ここでは、国家は弱体化し多極化世界が登場します(しかしグローバルに個人及び企業は市場原理で結びついている)。そして国家の弱体化が皮肉にも「超紛争」時代(第二波)を引き起こします。ここまでだと極めて悲観的な内容になってしまうのですが、「しかし」と著者はある意味願望的な意味合いを込めて希望を示します。それが、超紛争時代後に到来する「超民主主義」時代(第三波)です。これは
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