■つかこうへいと70年代の青春 550頁超の大冊!『つかこうへい正伝』の書名を見て、当然、その生い立ちや家系から始まるものと思えば、〈1968ー1982〉の表記に大いにとまどう。6年前、62歳で亡くなった、戦後日本を代表する演劇人のわずか15年にこそ「正伝」が宿るという意志だ。 68年、20歳の青年詩人が慶応大学の学生演劇から出発して、早稲田に乗り込み多彩な才能と出逢い、70年代の演劇界を革新してゆく。著者・長谷川康夫はその最初期から、つかのもとで役者&スタッフとして活動した。三浦洋一・平田満・加藤健一・根岸季衣・風間杜夫……つかと出逢った若者たちは人生を変えられる。『熱海殺人事件』『初級革命講座飛龍伝』『ストリッパー物語』『蒲田行進曲』……あの名作たちがいかに創られたか詳細に検証される。口立てと呼ばれる独自の手法が、つかの小説執筆でも援用された(役者に原稿を書かせ、手を入れる)と本書で初
千葉雅也(ほか分担執筆) 『ドゥルーズ 没後20年新たなる転回』 河出書房新社編集部(編)、2015年10月 フランス現代思想を代表する哲学者ジル・ドゥルーズ。その没後20年目を迎えた昨年は、世界各地でコロックが開催された。ドゥルーズ研究は今なお各地で盛んに行われており、また思弁的実在論など新たな潮流を生み出しつつある。本論文集は、国内の20年の研究史を振り返りつつ、そうした国外の研究動向をも把握することができる内容となっており、かつて同出版社から没後10年にさいして刊行された論文集からドゥルーズ研究を確実に前進させている。なおかつ、国外の研究動向をたんに紹介するにとどまらず、それらを批判的に検討し、今後のさらなる可能性を展望するものである。 本論文集は三つの対談と一三本の論文を収め、それら計一六章が二、三章ずつ七つのテーマに割り当てられている(七つのテーマは、「対談」「展望」「文学者が読
ジョルジュ・ディディ=ユベルマン著 『イメージ、それでもなお アウシュヴィッツからもぎ取られた四枚の写真』 1942年7月、アウシュヴィッツにて「結成」されたゾンダーコマンド。同じユダヤ人の「前任者の死体を焼くことが次の部隊にとっての通過儀礼だった」。 自らが間もなくガス室送りになることを知りつつも、ユダヤ人がガス室に入るのを見届け、「叫び声や壁を打ち鳴らす音、最後のうめきを耳」にし、「筆舌に尽くしがたい人間の山積み」を引き受け、死体を引っぱり出して服を脱がし、血や体液を洗い流し、金歯を「「帝国」の戦利品」として取り外し、死体を焼却棟の大がまにくべる作業に従事させられた。遺灰をかき集め、残った人骨を砕き、近隣の河川に投げ入れたり,道路の舗装材に用いた。カモフラージュ用の生垣を作り、予備の焼却溝を掘り、焼却棟の大かまどの清掃、修繕をする。これらの作業を「SSに脅されながら毎日繰り返す」のがゾ
倒錯の偶像―世紀末幻想としての女性悪 作者: ブラム・ダイクストラ,富士川義之出版社/メーカー: パピルス発売日: 1994/04メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る 最近、同人メイド関係で今までお会いしていなかった方にお会いしてみようと、酒井シズエ様、そして墨東公安委員会様とお話をする機会を持ちました。今まで、個人的に「自分が言いたいことは、同人で行う」をモットーにしており、人に会って話すとすっきりして創作意欲がなくなるんじゃないの(やや『化物語』の阿良々木君的発想ですが)、というのを危惧もしていました。 実際にお話をしてみると、自分では気づかないけれども知っていることや、相手の視点で見ると見えてくること、そして自分が伝えようとして伝わっていないことなどが見えてくるんですが、何よりも全員が長く(お二方は10年以上?)メイドジャンルに関わっているわけで
掲載日: 2016-01-26 生存学奨励賞について、生存学研究センター運営委員および外部審査員からなる計7名の審査員による厳正な選考の結果、以下のように生存学奨励賞と審査員特別賞が決定いたしました。 生存学奨励賞 生存学奨励賞 『なぜふつうに食べられないのか 拒食と過食の文化人類学』講評 なぜふつうに食べられないのか。そもそもふつうに食べるとはどういうことか。本書は、思春期という人生の早い段階で摂食障害に陥った6人の女性たちを事例として、心と身体が正常であれば、人間は普通に食べることができるのだと措定する還元主義的な医療モデルを批判し、食べることと社会との関係の根源を問い直すことを目指したものである。 生存学は、障害や老い、病、異なりを抱えた人びとが、福祉や医療の対象とされる以前に、それぞれの生を紡いできた過程、彼らの生きる知恵や技法が創出される現場に光をあてる。そこから、人びとの経験と
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