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ブックマーク / book.asahi.com (15)

  • コラム別に読む : 津島佑子の世界 中沢けいさんが選ぶ本 - 中沢けい(作家) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■抒情、果敢に切り開いた作家 二月に亡くなった津島佑子は、女性の産む性を主題とした作品で出発した作家であった。そこでは婚姻という社会制度は拒否もしくは回避される。『山を走る女』は産む性である女性とその子どもを描いてきた作品の中でも、集大成というべきものだ。 都会の園芸店に勤めながら、幼い子どもを育てる女のイメージのもとは山姥(やまんば)だ。足柄山の奥で金太郎をひとり育てた山姥のイメージが都会の園芸店に置き換えられている。作中では保育園の保育日誌が多用され、女親と子どもの間に流れる豊かな時間が提示される。やがてそこに男という存在が登場する。男であって父親ではない。子がいる女も、そこでは母親ではなく女である。 婚姻という社会制度の外側で子を持つというテーマは一九七〇年代後半、世界的な関心事であった。看護婦が戦争で脳に障害を負った男によって子どもを持つというジョン・アーヴィングの『ガープの世界』

    コラム別に読む : 津島佑子の世界 中沢けいさんが選ぶ本 - 中沢けい(作家) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
  • コラム別に読む : つかこうへい正伝 [著]長谷川康夫 - 中森明夫 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■つかこうへいと70年代の青春 550頁超の大冊!『つかこうへい正伝』の書名を見て、当然、その生い立ちや家系から始まるものと思えば、〈1968ー1982〉の表記に大いにとまどう。6年前、62歳で亡くなった、戦後日を代表する演劇人のわずか15年にこそ「正伝」が宿るという意志だ。 68年、20歳の青年詩人が慶応大学の学生演劇から出発して、早稲田に乗り込み多彩な才能と出逢い、70年代の演劇界を革新してゆく。著者・長谷川康夫はその最初期から、つかのもとで役者&スタッフとして活動した。三浦洋一・平田満・加藤健一・根岸季衣・風間杜夫……つかと出逢った若者たちは人生を変えられる。『熱海殺人事件』『初級革命講座飛龍伝』『ストリッパー物語』『蒲田行進曲』……あの名作たちがいかに創られたか詳細に検証される。口立てと呼ばれる独自の手法が、つかの小説執筆でも援用された(役者に原稿を書かせ、手を入れる)と書で初

    コラム別に読む : つかこうへい正伝 [著]長谷川康夫 - 中森明夫 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
  • 「兵士とセックス―第二次世界大戦下のフランスで米兵は何をしたのか?」書評 戦争が誘発する性暴力とは|好書好日

    兵士とセックス 第二次世界大戦下のフランスで米兵は何をしたのか? 著者:メアリー・ルイーズ・ロバーツ 出版社:明石書店 ジャンル:社会・時事・政治・行政 兵士とセックス―第二次世界大戦下のフランスで米兵は何をしたのか? [著]メアリー・ルイーズ・ロバーツ 1944年夏、フランスのノルマンディー。ここで米軍が行った上陸作戦は、しばしば軍事的側面からのみ取り上げられる。その後のフランスで、米兵がどのような生活を営んでいたのかについては、ほとんど焦点があたらない。書は、性という観点から、第二次大戦下の米仏関係を読み解く一冊。三部構成で、一部では「恋愛」を、二部では「売買春」を、三部では「レイプ」を取り扱っている。 ノルマンディー作戦は、ナチスからフランスの女の子たちを救い出し、キスの嵐で迎えられるといったジェンダー表現でたびたび受容された。この物語はフランスに対する支配意識とも結びつき、兵士た

    「兵士とセックス―第二次世界大戦下のフランスで米兵は何をしたのか?」書評 戦争が誘発する性暴力とは|好書好日
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    irureme 2015/10/21
  • 「トリュフォー—最後のインタビュー」書評 映画愛に満ちた会話の応酬|好書好日

    トリュフォー—最後のインタビュー [著]山田宏一、蓮實重彦 フランソワ・トリュフォーは、一九八四年に五十二歳の若さで亡くなった仏の映画監督。ゴダールやシャブロルと同じくヌーヴェルヴァーグの一員であり、没後三十年となる今年、日でも映画祭が行われ、長編第一作『大人は判ってくれない』以来、監督の分身として度々主演を務めた盟友/名優のジャン=ピエール・レオーが来日を果たした。 「最後のインタビュー」とあるのは、八二年、トリュフォーが何度目かの来日を果たした際、編者二人がじっくりと時間をかけて、この類い稀(まれ)なる映画作家のフィルモグラフィーを通覧するべく臨んだ会話が、書の大半を占めているからだ。そこに、初めて三人が語らった七九年のインタビューと、遺作となった『日曜日が待ち遠しい!』についてパリで山田、蓮實両氏別々に行われた会話が添えられている。 シネフィリー(映画愛)という言葉がある。映画

    「トリュフォー—最後のインタビュー」書評 映画愛に満ちた会話の応酬|好書好日
  • http://book.asahi.com/ebook/master/2012030600001.html

    irureme
    irureme 2014/06/21
  • 書評・最新書評 : 萱野稔人 書評委員が選ぶ「今年の3点」 - 萱野稔人(津田塾大学准教授・哲学) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    irureme
    irureme 2014/01/09
  • 書評・最新書評 : 柄谷行人 書評委員が選ぶ「今年の3点」 - 柄谷行人(哲学者) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    (1)忘却のしかた、記憶のしかた(ジョン・ダワー著、外岡秀俊訳、岩波書店・3150円) (2)褐色の世界史(ヴィジャイ・プラシャド著、粟飯原文子訳、水声社・4200円) (3)ゾミア(ジェームズ・スコット著、佐藤仁監訳、みすず書房・6720円) ◇ (1)『敗北を抱きしめて』で知られるアメリカの日学者の主要な仕事のエッセンスを、自身による解題を付して、年代順に配列したものである。書によって、戦後の日と米国両方の記憶と忘却を、一つ一つ吟味することができる。 (2)「第三世界」は元来、発展途上国という意味ではなかった。前近代的として否定されてきたものを高次元で回復することによって、西洋先進国文明の限界を乗り越えるというプロジェクトを意味した。 (3)東南アジア大陸部および中国南部の丘陵地帯には、まだ国民国家に統合されていない山地民が存在する。彼らは未開人ではなく、もともと平地にいたが、国

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  • コラム別に読む : 動きすぎてはいけない [著]千葉雅也 - 永江朗 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■つながりが息苦しいなら断ち切ろう こんなが売れているとは! もちろん「こんな」は侮蔑の言葉ではない。「こんなにも難解で厚い」という意味である。 千葉雅也『動きすぎてはいけない』は哲学書である。20世紀後半のフランスで活躍した哲学者、ジル・ドゥルーズが扱われている。著者は1978年生まれの立命館大学大学院准教授。書は東京大学に提出された博士論文をもとにしたものだ。 難解な哲学書が売れたことは過去にもある。50代以上の人なら、80年代のニューアカ・ブームを覚えているだろう。30年前、浅田彰の『構造と力』がベストセラーになった。98年には東浩紀の『存在論的、郵便的』が話題になった。浅田の15年後に東が、東の15年後に千葉が現れたのである。書の帯には浅田と東の推薦文が寄せられている。 三者に共通しているのは、フランス現代思想、とりわけ1960年代以降の哲学を研究しつつ、現代日のわれわれを

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  • 本の記事 : 発禁本「エロエロ草紙」 人気の秘密は危険な香り - 井上恵一朗 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    国立国会図書館がネットで無料公開する古書でアクセス数トップを独走するがある。戦前の発禁「エロエロ草紙(ぞうし)」。エロ×発禁。時代の香り漂う語感が、人々をひきつけるのか。 ■アクセス数はトップを独走 「エロ・グロ・ナンセンス」がはやる大正末~昭和初期に活躍した作家・酒井潔の著作。当時の出版法に基づく内務省の検閲で「風俗を壊乱(かいらん)する」として1930年(昭和5年)に発禁処分を受けた。 国会図書館がネット公開したのは2011年6月。昭和初期~終戦直後までの約5万6千冊をデジタル化し、まとめて公開したうちの1冊に過ぎなかった。 ところが、翌年の5月、国会図書館の月間アクセスランクのトップ10に初登場するや、今年5月までに1位10回、2位2回と快走し続けている。「題名にそそられるのか、ここまで長く話題をキープするとは」と同館広報担当は驚く。 ■接吻やデート、作法の指南書 人気に目を付け

    本の記事 : 発禁本「エロエロ草紙」 人気の秘密は危険な香り - 井上恵一朗 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
    irureme
    irureme 2013/10/07
    >検閲本研究者の安野一之さん(43)によると、文字を切り貼りして補う「伏せ字表」を後で購入者に送る出版社もあったという。
  • 石牟礼道子「蘇生した魂をのせて」「石牟礼道子―魂の言葉、いのちの海」書評 「公」とは何か、水俣から学ぶ|好書好日

    蘇生した魂をのせて/石牟礼道子―魂の言葉、いのちの海 [著]石牟礼道子 藤原書店から出ている全集も大詰めを迎えつつある石牟礼道子。行動をともなったその思索、そして言葉に関するが幾つか出てきている。 『蘇生した魂をのせて』は講演や対談をまとめたもの。そして『魂の言葉、いのちの海』は様々な書き手による石牟礼道子論と、全集未収録エッセーが掲載されたである。 御存知(ごぞんじ)のように石牟礼は故郷熊で水俣病患者に寄り添い、『苦海浄土』という貴重な記録文学を成した。そこには何よりも方言が踊り、震え、出来事に耐えている。 体の中に水銀を貯(た)めざるを得なかった患者の苦しみはいまだ終わっておらず、そもそも近代化にともなう技術の一方的な“進歩”が、世界をどう不均衡にしてしまうかは、私たちの抱える原発事故問題に一直線につながっている。 公害とはなんであるか。一体その「公」とは何か。当にそれは公であ

    石牟礼道子「蘇生した魂をのせて」「石牟礼道子―魂の言葉、いのちの海」書評 「公」とは何か、水俣から学ぶ|好書好日
  • 「褐色の世界史」書評 プロジェクトの出現と崩壊追う|好書好日

    褐色の世界史―第三世界とはなにか [著]ヴィジャイ・プラシャド 「第三世界」という言葉は今も使われるが、ほとんど途上国や経済的後進国という意味でしかない。書の序文冒頭に、次のことばがある。《第三世界は場所ではない。プロジェクトである》。このプロジェクトはたんに、これまで植民地下にあった諸国が独立し、西洋先進国と並ぶようになるということではない。それまで前近代的として否定されてきたものを高次元で回復することによって、西洋先進国文明の限界を乗り越えるというものである。このような理念がなくなれば、第三世界は消滅するほかない。書は、この理念がいかにして出現し、且(か)つ消えていったかを丹念に追跡するものである。 書から、私は第三世界に関する基礎的な史実を学んだ。その中でも興味深いのは、第三世界の運動が国連を中心にしたということである。つまり、途上国の連合体は、大国に従属せず、国連を通して力を

    「褐色の世界史」書評 プロジェクトの出現と崩壊追う|好書好日
    irureme
    irureme 2013/06/08
    >《第三世界は場所ではない。プロジェクトである》。/そう遠くない将来に、「第三世界」に代わるものが生まれるだろう、そして、それは新たな国連と結びつくだろう、と。
  • 本の記事 : 作家・石原慎太郎 評論家が語る 早熟な輝きと嫌悪の鎧 - 藤谷浩二・安部美香子 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    映画「青木ケ原」の撮影に臨む石原慎太郎氏(左から2人目)。右から主演の勝野洋、左とん平=4月24日、静岡県富士宮市 衆院選での国政復帰をめざす石原慎太郎・前東京都知事(80)。にわかに注目を浴びるベテラン政治家は、ベテラン作家でもある。その作品世界から何が見えるのか。練達の読み手と、石原氏の原作を映画化した監督が読み解く。 ■「過激で青二才的小説は功績」「他者が目に入らず」 「秋口には『太陽の党とか結成し、国政に出るんじゃないの?』と冗談交じりに話していた」と語るのは書評家の豊崎由美さん。「いま石原慎太郎について日で一番考えているのは私たち。あの人のやることでわからないことはない」と笑う。 豊崎さんは評論家の栗原裕一郎さんと、作家・石原氏を巡る公開対談批評「いつも心に太陽を」を4月から月1回のペースで開いている。 石原氏が芥川賞を受けたデビュー作「太陽の季節」は大ブームを呼んだ。「芥川賞

    本の記事 : 作家・石原慎太郎 評論家が語る 早熟な輝きと嫌悪の鎧 - 藤谷浩二・安部美香子 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
    irureme
    irureme 2013/01/11
    >豊崎さんが高く評価するのは比較的初期の「鴨」と「嫌悪の狙撃者」。
  • asahi.com(朝日新聞社):笠井潔さんが新刊『例外社会』 豊かさ失った現代考察 - ひと・流行・話題 - BOOK

    笠井潔さんが新刊『例外社会』 豊かさ失った現代考察2009年5月7日笠井潔さん=松敏之撮影 「矢(や)吹(ぶき)駆(かける)」シリーズなど、ミステリー作家としても活躍する笠井潔さん(60)が、社会批評としては14年ぶりとなる新著『例外社会』(朝日新聞出版)を刊行した。中流の崩壊や貧困層の増大など、未曽有の変化に直面する日社会を、階級、文化、群衆という三つの側面から論じた長編評論で、総ページ数約700ページ、厚さは5センチ近い。文字通りの大著だ。 ◇ 新左翼の活動家から文筆活動に転じた笠井さんは1984年、『テロルの現象学』を著し、連合赤軍事件や内ゲバ事件を批判してマルクス主義やテロリズムから「革命自体を解放」せよと訴えた。約10年後に発表した『国家民営化論』では、国家の完全民営化という、市場原理主義ともとれる主張を展開し、一部の読者からは「ネオリベラリズムに転向した」ともいわれた。 『

    irureme
    irureme 2009/08/05
  • asahi.com(朝日新聞社):書評委員お薦め「今年の3点」 柄谷行人 - 書評 - BOOK

    書評委員お薦め「今年の3点」 柄谷行人[掲載]2008年12月21日[評者]柄谷行人(評論家)(1)暴力はどこからきたか―人間性の起源を探る [著]山極寿一 (2)K・A・ウィットフォーゲルの東洋的社会論 [著]石井知章 (3)民主主義への憎悪 [著]ジャック・ランシエール [訳]松葉祥一 (1)動物には攻撃性を抑止する能的機制があるのに、人間にはそれが欠けているという考えがこれまで支配的であった。しかし、たとえば、類人猿たちは能的機制をもっておらず、さまざまな社会的システムによって攻撃性を抑止している。人間にもそれができないはずがない。 (2)ウィットフォーゲルはロシア中国の社会主義体制を「東洋的専制国家」として批判したため、「反共」思想家として葬られた思想家だが、書が示すように、現在の中国北朝鮮ロシアを見る上で、彼の認識は今も不可欠だ。 (3)議会制民主主義とは、実は、少数

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    irureme 2008/12/26
  • asahi.com: 文化の場所 ポストコロニアリズムの位相 [著]ホミ・K・バーバ - 書評 - BOOK

    とんだ覚えちがいもあるものだ。十年ほど前、一九九四年刊行の原著を初めて読んだ時以来、わたしはこのを「擬態論」なるタイトルで記憶していた。それぐらい第四章の「擬態と人間について」が強烈だったのだ。 いまも第一印象は変わらない。アリストテレスからアウエルバッハに至る理論家が古典的な文学や芸術の根に想定してきた模倣原理「ミメーシス」を批判的にふまえつつ、グローバリズム以後の文化にかんがみて擬態原理「ミミックリー」を建設的に発展させていく思索は、明らかに書独自の理論的基礎を支えている。 その点こそ、エドワード・サイードが帝国と植民地の歴史系列を相互交渉するものとして見直す「対位法」理論や、ガヤトリ・スピヴァクが言葉を奪われた土着的・従属的情報提供者の立場を問う「サバルタン」理論とは、一線を画す。この擬態論を楽しむには、たとえば日語の「学ぶ」という動詞の裏に「まねぶ」すなわち「よく真似る」こ

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    irureme 2008/08/09
    巽孝之
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