(20)に戻る 衛星写真で今の朝鮮半島をとらえたら、「真っ暗」な北朝鮮と「煌々(こうこう)と明るい」韓国の対比が、くっきりと表れる。 2014年の発電設備容量は北朝鮮が約725万キロワットで韓国のわずか約7・8%でしかない(韓国産業銀行統計)。実際の総発電量で比べると、さらに減って韓国の4・3%(2013年)にとどまる。首都・平壌では多少の改善も伝えられるが、北朝鮮の電力不足は相変わらずのようだ。 ところが、日本統治時代の朝鮮北部は発電所銀座とでも呼びたくなるほどの「電力王国」だった。大正末期以降、日本人は、人が容易に立ち入れない急峻(きゅうしゅん)な山地に奥深く分け入り、赴戦江、長津江、虚川江といった川に、次々と巨大な水力発電所を建設していったからである。 中でも、満州国(現・中国東北部)と朝鮮の国境を流れる鴨緑江に水力発電用として建設された「水豊ダム」は、ケタ外れのスケールだった。高さ