◇揺れる思春期 悩み抱え自傷、不登校に ただでさえ多感な年ごろだ。性同一性障害(GID)の子どもたちは性別への違和感に加え、学校でいじめや偏見にさらされ、孤独に押しつぶされそうになる。やっと振り返れるようになった若者たちが、苦しかったころを語ってくれた。 「誰かに助けてほしい。でも自分からは言えなくて。心の痛みを傷の痛みで追い出すしかなかった」。東京都内でアルバイトをする和希さん(19)=仮名=は「これからの子どもたちの役に立つなら」と静かに語り始めた。左手首には線状の傷跡が無数に残っている。 女の子の体で生まれた自分を男の子と意識し始めたのは、幼稚園のころからという。男子とばかり遊んでいた。小学5年生の時、クラスの女子全員にトイレに引きずり込まれた。「おとこおんな。本当に女なのか証拠を見せな」。下着まではぎ取られた。いじめはしばらく続いた。 親に勧められるまま、中高一貫の私立女子校に進ん