週刊ダイヤモンド編集部 【第19回】 2008年08月12日 元米国労働長官 ロバート・ライシュ 「暴走する資本主義=スーパーキャピタリズムが民主主義をひき逃げする」 度を越えた企業間競争のせいで、民主主義が息切れしていると警鐘を鳴らすのは、クリントン政権下で労働長官を務めたロバート・ライシュ博士だ。先進国が等しく抱えている格差問題の核心を、公共政策の大家に聞いた。(聞き手/ジャーナリスト 瀧口範子) 今、米国をはじめとする先進国が抱えている格差問題は、「スーパーキャピタリズム」によって引き起こされている。 スーパーキャピタリズムとは、きわめて激しい競合環境にある企業活動が、人々の市民としてのあり方を脅かし、民主主義を息切れさせている状態のことである。皆が同じ収入を得るべきだとは思わないが、格差が民主主義社会にとってよくないことは確かだ。 われわれは皆二つの相反する人格を内に併せ持