コロナ禍を経て、地方移住に関心を持つ人たちが増えている。政府や自治体はそうした移住を促進すべく、支援金制度などを充実させようと急いでいる。だが、こうした政策は本当に有効なのだろうか? 新潟大学で教えた経歴を持ち、現在は英シェフィールド大学で21世紀日本の生涯雇用などを研究するピーター・マタンレが、過去の失敗例をもとに解説する──。 関東から移住で数百万円の支援金 日本政府は、首都圏から地方への移住を促す支援金制度の拡充を発表した。2023年4月から、地方に新天地を求める世帯には子ども1人につき最大100万円が支給される。従来の支給額からは70万円の増額となる。 給付金をすべて含めると、1世帯あたりの受給額はかなり大きなものになる。だが、新居への引っ越しや転職(あるいは起業)、収入減などであっという間に使い果たしてしまうだろう。 この制度の主な目的は、首都圏の過密を緩和するとともに、若者や起