渦中にあるから、麻生太郎首相には大局が見えないのかもしれない。支持率が20%台後半に改善されたからか、総選挙の可能性に言及しているが、それは、敵失の結果にすぎない。第1公設秘書が逮捕された小沢一郎代表や、小沢氏を守り続ける民主党への嫌気であり、首相への前向きかつ積極的な評価ではない。 支持率低迷からの回復の兆しに安堵(あんど)する気持ちはわからないでもない。しかし、こんなちっぽけな回復に安堵したり、一喜一憂して、日本のどこがよくなるというのか。 景気回復も重要だ。経済も極めて大事だ。だが、国民への支援が、景気対策と生活支援の、物やおカネにまつわる次元にとどまってよいはずがない。国民が前に向かって進む勇気や、将来に夢を描きたくなるような支援を与えなければならない。危機のときこそ、国民の心を根底から深く揺さぶり、突き動かし、勇気づけていってほしい。そうした思いで施策を講じれば、思いは通じるはず