→紀伊國屋書店で購入 『不純なる教養』は、フランス文学者の白石嘉治によって書かれた大学と思想をめぐるテクストをまとめた書物である。大学あるいは大学という運動、そしてその無償化を中心に、フランスの大学ストライキ、札幌・トリノの大学サミット、洞爺湖G8サミット、日本学生支援機構とブラックリストの会、そして、ネグリ、デカルト、スティグレール、笙野頼子が論じられていく。 まずなによりも、高等教育が無償であるという考え方そのものは、いわば常識の範疇に属すことを確認しておきたい。じっさいヨーロッパ諸国では、大学の学費は無償か比較的低額に抑えられており、また米国における奨学金の充実は良く知られているだろう。普通(ユニバーサル)選挙権と同様に、大学(ユニバーシティ)で成人として教育を受ける権利は経済的な制限があってはならないものである。(「不純なる教養」) 昨今、大学や知をめぐる議論は様々な分野で盛んであ