「人工知能(AI)が進化しても翻訳家の仕事はなくならないと思うよ」。先日、妻と話をしていたときに、こんなことを言われた。妻は最近、在宅でもできる仕事として翻訳を始めた。仕事の情報収集をする中で、AIによる機械翻訳の話題を目にすることがよくあるという。 翻訳業界では、機械翻訳の台頭によって「ポストエディット」と呼ばれる仕事の需要が急速に高まっている。機械翻訳の文章を修正して、人による翻訳に近づける仕事だ。翻訳会社が、こうした仕事に従事する「ポストエディター」の専門コースを設けるなどの動きもある。いうなれば、「AIを使いこなせる能力を持つ人」を育成する取り組みだ。 近年、機械翻訳は目覚ましい進化を遂げている。機械学習や深層学習によるアルゴリズムが進展したことや、クラウドという膨大なコンピューターリソースを活用できるようになったことなどが理由だ。少し前には、ドイツのDeepL GmbHが開発した