「個人情報が漏えいするかもしれないから、PCは職員室の外に持ち出せない。無線LANも使えず不便」──関東圏のとある小学校で教師をしているナカガワさん(仮名)は、勤めている学校のIT環境についてこう話す。 「生徒1人1台のPC」を目指す文科省の「GIGAスクール構想」が一段落し、教育のIT化がようやく動き始めた。一方でナカガワさんが話すように、ITによる教師の業務改善や働き方改革は、まだ本格的に始動しているとは言い難い。 「自治体によって現場の課題は多種多様。それぞれ問題が個別化されているので、一括した対応が非常に難しい」──慶應義塾大学大学院経営管理研究科の元特任教授で、業界団体「日本パブリックアフェアーズ協会」の理事として教育ICTに関する政策提言などを行う岩本隆さんは、教育現場の課題についてこう話す。 教育そのもののIT化が進み始める一方で、小中学校の先生たちが使うIT環境が変わらない