ふたり芝居。ある夫婦の光景。テーブルを挟んで向かい合う。なんでもないたわいない会話が続く夏の日の午後。今は不在の娘、ハナコを待つ時間。たぶん彼女はクラブ活動をしているようだ。だけどなんだかおかしい。彼女はもう死んでいる。 今いる「ハナコ」は猫で、娘の代わりに飼っているのか。妻は病気で入院するのか。夫はひとりになるのか。だからこの先、妻の代わりにハナコの面倒を見なくてはならないのか。 . . . 本文を読む
『ブリグズビー・ベア』 ストーリーは更新されなくてはならない 1981年3月30日、ワシントンDC。25歳の青年ジョン・ヒンクリーは、その年に大統領へ就任したばかりのロナルド・レーガン暗殺を試みた。ヒンクリーはかねてからジョディ・フォスターのストーカーであり、大統領の暗殺に成功すれば、彼女に認められると考えていたのだ。いったいどのような理由により、彼が「大統領を暗殺すれば、意中の女優が振り向く」と、何の脈絡もないふたつの事象を関連づけたのかはわからない。しかしヒンクリーはそのような奇矯なストーリーに沿って生きていたのであり、レーガン大統領暗殺未遂事件が私たちに独特の憐憫を呼び起こすのは、犯人がかかるみじめな物語のなかでしか生きられなかったことの空虚さゆえである。 私たちはみなストーリーに沿って生きている。人は何らかの物語のもとでしか生きていけないからこそ、誰もが内部にストーリーを持ち、日々
金曜日。朝8時「ラヴィット」に磯村勇斗&河合優実。11:50「ぽかぽか」トークに一青窈。「徹子の部屋」にJO1。夜9時「金ロー」は映画『魔女の宅急便』。夜9時「Mステ」は幾田りら×anoコラボ。夜9時〜WOWOWシネマで映画『交換ウソ日記』(高橋文哉、桜田ひより、板垣瑞生)初放送。 夜9時半「スイッチインタビュー」はpeco×平野啓一郎EP2。夜9:58「酒のツマミになる話」に浅野いにお。夜10:54〜TBS「WatchLIST」は荒井晴彦。夜11時「A-Studio+」 (配信無)に堤真一。 夕方5:00-6:00 ★BS1『島根発地域ドラマ「島根マルチバース伝」』[ドラマ] “NHK松江放送局がオール島根ロケで制作したオリジナルドラマ。地方で生きることに葛藤を抱えたまま大人になった主人公が、居場所を見つけ、やがて輝き出すまでの物語。” 【脚本】竹田モモコ【出演】桜庭ななみ,佐野史郎,綿
黒い十人の女 予告篇 映画史には無数の“if”がある。「もし、あの企画が実現していたら……」「もし、あのキャストが実現していたら……」。死んだ子の歳を数えることの虚しさは承知の上で、そうした空想に耽ることも映画の面白さのひとつだろう。その意味で、先ごろ亡くなった京マチ子が出演したかもしれない『黒い十人の女』という“if”を提示してみるのも一興だろう。 市川崑とテレビ 本作が製作された1961年、市川崑は空飛ぶ鳥も落とすほどの存在だった。『鍵』(1959) 、『野火』(1959)、『ぼんち』(1960)、『おとうと』(1960)と、一筋縄ではいかない文芸映画を華麗なテクニックと見事な語り口で矢継ぎ早に映画化し、いずれも成功させたのだから、次なる動向に注目が集まっていた。 1960年1月31日の『讀賣新聞』が、ブルーリボン監督賞を受賞した市川崑へインタビューを行っている。受賞作の話もそこそこに
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