ふたり芝居。ある夫婦の光景。テーブルを挟んで向かい合う。なんでもないたわいない会話が続く夏の日の午後。今は不在の娘、ハナコを待つ時間。たぶん彼女はクラブ活動をしているようだ。だけどなんだかおかしい。彼女はもう死んでいる。 今いる「ハナコ」は猫で、娘の代わりに飼っているのか。妻は病気で入院するのか。夫はひとりになるのか。だからこの先、妻の代わりにハナコの面倒を見なくてはならないのか。 . . . 本文を読む
『ブリグズビー・ベア』 ストーリーは更新されなくてはならない 1981年3月30日、ワシントンDC。25歳の青年ジョン・ヒンクリーは、その年に大統領へ就任したばかりのロナルド・レーガン暗殺を試みた。ヒンクリーはかねてからジョディ・フォスターのストーカーであり、大統領の暗殺に成功すれば、彼女に認められると考えていたのだ。いったいどのような理由により、彼が「大統領を暗殺すれば、意中の女優が振り向く」と、何の脈絡もないふたつの事象を関連づけたのかはわからない。しかしヒンクリーはそのような奇矯なストーリーに沿って生きていたのであり、レーガン大統領暗殺未遂事件が私たちに独特の憐憫を呼び起こすのは、犯人がかかるみじめな物語のなかでしか生きられなかったことの空虚さゆえである。 私たちはみなストーリーに沿って生きている。人は何らかの物語のもとでしか生きていけないからこそ、誰もが内部にストーリーを持ち、日々
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