東日本大震災はまだ終わっていない。何の落ち度もなく肉親や家、古里を奪われ、今なお避難生活を送る人は全国で5万人超に上る。その厳しい現実を改めて私たちに突き付ける判決が、横浜地裁で言い渡された。 東京電力福島第1原発事故で福島県から神奈川県に避難した住民ら175人が国と東電に損害賠償を求めた訴訟で、同地裁が2者の責任を認め、152人について計4億1963万円の支払いを命じた。 同事故の避難を巡る集団訴訟で判決が下されたのは、8件目だ。いずれも東電の責任を認定したほか、国を被告にした6件の訴訟のうち5件で国の責任が断罪されたことになる。 集団訴訟は福岡地裁(係争中)でも起こされ、九州で避難生活を送る人々も救済を求めている。国はそうした動きと一連の司法判断を真摯(しんし)に受け止め、被災者支援の拡充を図るべきだ。 判決は、2011年3月11日の津波による事故について、予見は可能であり、電源施設の
【ふるさとを返せ 津島原発訴訟】法廷に響いた〝加害者〟東電の本音。「ダム建設で沈んだ村よりマシ」「居住制限あるが立ち入り出来る」~原告本人尋問始まる。元GE佐藤暁氏も出廷 2019/01/19 08:08 原発事故で帰還困難区域に指定された福島県浪江町津島地区の住民たちが国や東電に原状回復と完全賠償を求める「ふるさとを返せ 津島原発訴訟」の第16回口頭弁論が18日、福島地裁郡山支部303号法廷(佐々木健二裁判長)で終日、行われた。原告に対する本人尋問が開始。この日は原告団長・今野秀則さんが法廷に立った。被告東電の代理人弁護士が「ダムの底に沈んで立ち入りすら出来ない村と比べれば津島はマシだ」とでも言いたげな尋問をし、法廷が騒然となる場面も。「ふるさと喪失」に対する東電側の本音が出た格好だ。午後は元GE技術者の佐藤暁氏が専門家として法廷に立ち、「必要な対策を講じていれば過酷事故は防げた」と語っ
東京電力福島第1原発事故で京都府内に避難した住民らの控訴審を前に横断幕を手に大阪高裁に向かう原告団(大阪市北区・大阪高裁前) 東京電力福島第1原発事故で福島県や茨城県から京都府内に避難した住民らが国と東京電力に損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が14日、大阪高裁(石井寛明裁判長)で開かれた。原告共同代表の福島敦子さん(46)が「私たちは自主的に避難したのではなく、逃げざるを得なかった。国と東電は事故そのものの責任を認め、全ての国民の命を守ってください」と意見陳述した。 福島県南相馬市から木津川市に避難する福島さんは、避難は多くの葛藤の中で「苦渋の決断」だったとし、「原発事故は収束していない。原告一人一人の命と向き合って判断してほしい」と訴えた。国は「津波想定は客観的、合理的なもので否定される余地はない」と述べた。 避難者らが全国各地で起こした集団訴訟の中で、京都訴訟の原告は、国の避
提訴に踏み切る意義について説明する弁護団事務局長の浜野泰嘉弁護士(右から2人目)ら=福島県郡山市日和田町高倉の「県農業総合センター」で2018年11月18日、宮崎稔樹撮影 ADR打ち切り受け全国初 原告は最大で2000人の見通し 東京電力福島第1原発事故の慰謝料増額を求め、福島県浪江町民約1万5000人が申し立てた国の裁判外紛争解決手続き(原発ADR)が打ち切られた問題で、町民を支援する弁護団は18日、東電と国を相手取り、27日に福島地裁に提訴すると明らかにした。ADRで示された和解案を尊重するとしていた東電が、和解を拒否し続けた「期待権侵害」に対する慰謝料を新たに盛り込むとしている。 この日、福島県郡山市で記者会見した弁護団によると、原発事故のADR打ち切りを受け集団訴訟を起こすのは全国で初めて。原告数は27日の第1次提訴で100人程度を見込んでおり、順次追加で提訴。最大で約2000人に
愛媛県の住民が四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求めた仮処分申し立ての即時抗告審で、高松高裁(神山隆一裁判長)は15日、申し立てを却下した松山地裁の決定を支持し、住民側の抗告を棄却した。 この仮処分については、松山地裁が昨年7月、原子力規制委員会の新規制基準や四電の安全対策に「不合理な点はない」として申し立てを却下。住民側はこれを不服とし、高松高裁に即時抗告していた。 即時抗告審では新規制基準や基準地震動(想定される最大の揺れ)の合理性、火山噴火の影響の評価などが争点になった。審尋は4回開かれ、地震の専門家らが住民側の参考人として出廷し、「四電の基準地震動の策定に関する調査は不十分」などと証言していた。 この日の決定は「新規制基準…
東京電力で社長や会長を務め、福島第一原発の事故をめぐって業務上過失致死傷罪で強制起訴された勝俣恒久被告(78)が30日、東京地裁で被告人質問に答えた。改めて無罪を主張し、「社長は万能ではない」と釈明する姿に、傍聴人からは「責任逃れ」との声もあがった。 「当時は津波よりも地震対策を優先していた」「(すべての仕事を社長が把握しろというのは)不可能に近いことだ」――。 被告人質問は午前11時ごろから、休憩をはさみ4時間余り続いた。1963年に東電に入社し、経営畑を歩んで従業員3万8千人のトップに立った勝俣氏は細身の体をまっすぐ伸ばし、言いよどむことなく説明を続けた。 傍聴席がざわつき始めたのは午後に入り、質問者が検察官役を務める指定弁護士に代わってからだ。 公判での大きな争点は、国が2002年にまとめた地震予測「長期評価」と、東電子会社がこれに基づいて08年に算出した「最大15・7メートル」の津
東京電力福島第一原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された旧経営陣3人の第33回公判が30日、東京地裁であり、経営トップの社長や会長を務めた勝俣恒久被告(78)が被告人質問に答えた。勝俣氏は津波対策について「下が報告してこなかったので特に関心を持たなかった」と供述し、自らが参加した「御前会議」などでの「報告・了承」を否定した。 検察官役の指定弁護士は、国の地震予測「長期評価」に基づく津波対策の採用が2008年2月の御前会議でいったん了承されながら、「最大15・7メートル」の津波予測が出た後、旧経営陣が対策の先送りに転じたと主張している。 勝俣氏は法廷で、この会議について「(津波に関する)説明はなかった」と主張。翌09年2月にあった御前会議で、地震対策を担当する部長が「14メートル程度の津波の可能性」に言及して初めて高い津波の可能性を知ったとしたが、「(根拠を)整理すると言っていた
東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の旧経営陣3人の第31回公判は17日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれた。被告人質問が16日に続き行われ、武藤栄元副社長(68)は、第1原発の津波対策を保留したことについて「誰にも相談していない」と説明。他の2被告の判断は仰がなかったとした。 これまでの公判では、津波対策を保留した経緯について、他の2被告の関与が示されていない。武藤元副社長が2被告の関与を否定したことで、検察官役の指定弁護士は、ほかの2被告について、より具体的な立証が必要になった形だ。 武藤元副社長は、2008(平成20)年6月に報告を受けた津波地震に関する政府見解(長期評価)について、7月に社外へ妥当性の検討を委託する判断をしたと説明。8月上旬に武黒一郎元副社長(72)に経過を報告するまで、経営層も含めて話題に上らなかったとした。 11年3月の事故直
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