唐木 これまで日本は安全・安心な社会の実現に向けて、国も尽力してきたし、科学技術も発展させてきたと思います。しかし、残念ながら、今回の東日本大地震と大津波は予想をはるかに上回る大規模なものであり、想定外だったと言えるでしょう。それが甚大な被害を食い止められなかった最大の理由だと思います。 「危機管理」といった場合、まず、危機の“規模”を想定しなければなりません。どのような災害が起こる可能性があるのかといった“前提”を定めない限り、対策を立てることはできません。今回はその前提が覆されたということです。 「止める」「冷やす」「閉じ込める」はどうだったか 原子力発電所の安全対策の3原則は、「止める」「冷やす」「閉じ込める」です。今回の東京電力福島原子力発電所の事故では、地震の発生と同時に制御棒が動作し、「止める」という機能は、設計通り、完遂されました。しかし、津波によってディーゼルエンジンがすべ