20日未明から明け方にかけて広島市北部を襲い、多くの死者、行方不明者を出した土砂災害。岩手では、土砂災害危険箇所が東北6県で最多の1万4348か所に上る。一方で、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域の指定は、全国平均の約7割に比べて約2割にとどまっており、住民の自主的な避難の判断も求められている。(柿沼衣里) ◆指定に2年 山間部で遅れ 県砂防災害課によると、土砂災害危険箇所は一関市の1415か所が最も多く、宮古市1322か所、岩泉町1037か所と続く。 県は危険箇所を中心に、人的被害の恐れのある場所などを警戒区域に指定し、避難態勢を整備する。しかし、危険箇所に占める指定の割合は22%(7月末、3154か所)にとどまる。八幡平市や田野畑村など5市町村は、指定はゼロだ。 1年前の8月9日に秋田・岩手両県を襲った豪雨では、花巻市の女性(当時91歳)が、自宅裏から流れ込んだ土砂に埋もれて死亡し