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ブックマーク / www.style.fm (7)

  • WEBアニメスタイル_COLUMN >> 第90回 『エスパー魔美』再見 「ターニングポイント」

    魔美と高畑の名コンビぶりは、作の魅力のひとつだ。超能力と行動力はあるが、思慮の足りない魔美と、他に特別な力はないが頭の回転がよく、博識な高畑。どちらかと言えば、高畑が魔美に振り回される事が多いのだが、彼は魔美の存在を受け止めており、彼女のよい部分を認めている。いつも的確なアドバイスを与え、時にやんわりと苦言を呈する。この“やんわり”というところが、彼のいいところだ。高畑和夫は思慮深い少年なのだ。 高畑はユニークなキャラクターだ。今回観返して、魔美よりも高畑の方が面白いのではないかと思ったくらいだ。何気ないセリフに妙なおかしさがある。頭がよすぎる事や、思慮深過ぎる事が、彼の面白さに繋がっているのだ。DVD-BOX解説書のインタビューや、先日のアニメスタイルイベントのトークでも話題になったが、放映当時、スタッフからも「あんなに頭のいい中学生がいるわけがない」と突っ込みが入れられていたそうだ。

  • WEBアニメスタイル_REVIEW

    今夏公開の劇場作品のダークホースとして、細田守監督の『時をかける少女』は作品に触れた観客から高い支持を集めた。時間にまつわる物語にはある種の感傷がつきものだが、作も受け手の心を揺さぶらずにおかないエモーショナルな魅力に満ちている。 その情感を喚起させる趣向の一翼を担ったのが、吉田潔による音楽であった。ヒロインが高校2年の夏に体験した不思議かつ甘酸っぱい物語が等身大の視点から語られるのに合わせ、吉田の音楽も極めてパーソナルな響きを主眼に置いて作られている。 楽曲の中枢を担うのはピアノと弦楽器群。これに作曲の吉田が演奏とプログラミングを担当したシンセが加わるミニマムな編成である。作の音楽のスタイルはオープニングを飾る「夏空」から明らかだ。まずは、ピアノが作品のメイン・テーマとなる旋律を切々と歌い、続いてシンセの瞑想的な音色へと受け継がれ、やがて豊かなストリングスが大きく歌い上げていく。 映

  • WEBアニメスタイル_特別企画

    少し前に『時をかける少女』制作中の細田守監督と「映画とは何か?」をテーマに話をしてきました。これは僕にとって、ここ数年間、ずっと気になっていた事なんです。「映画館で公開されたものは全部、映画だ」と言ってしまっても間違いではありません。それがシンプルな定義です。ですが、人がある作品について「これは映画だ!」と言う場合、別の基準で「映画かどうか」を判断して言っているわけですよね。その定義は人によって、また場合によっても違うはずです。そんな事について、ちょっと考えてみましょう。 小黒 ここ数年、「映画」というものが気になっているんだ。「映画って何なんだろう」みたいな事を考えたりしているわけ。 細田 どうしたんですか。アニメ様が映画を気にするなんて(笑)。 小黒 映画が分かってないと、アニメも分からないと思ったからなんだよ。アニメの劇場作品について「これは映画だ」とか「これは映画ではない」と言った

  • WEBアニメスタイル_COLUMN アニメ様の七転八倒 第65回 『時をかける少女』とモラトリアムの特権

    細田守監督版の『時をかける少女』を観て、ごく当たり前に面白いという事が、こんなにも価値があるものだったのかと思った。誰にでも分かる普通の映画なのに、充分に満足できる。「だけど」や「の割りには」がない作品だ。「……だけど、頑張っている」とか「……の割りには、面白い」ではない。そんな条件なしに「よくできている」「面白い」と言う事ができる。 細田監督が「アニメは何ができるか」「アニメはどんな事が得意か」という事をよく分かっていて、それをやり切っているのが気持ちいい。映像のフェティッシュな心地よさは『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』には及ばないが、そういった部分が突出していないところが、青春ものに合っていた。 以下は、余計な話かもしれない。どうして余計かと言えば、解釈などなくても、この映画は充分に楽しむ事ができるからだ。空は青く、雲は白い。主人公は元気で、キャッチボールは楽しそうだ

  • WEBアニメスタイル_TOPICS

    今日から数回に分けて、劇場作品『時をかける少女』の各種資料を公開していきます。まずは細田守監督の手による絵コンテから。綿密に作品を構築していく事で知られる細田監督が、どのように『時をかける少女』を設計したのかを読み取ってみましょう。 掲載したコンテの中には、映画の展開が分かってしまう内容のものもあります。先に内容を知ってしまうのが不安な方は、映画を観てから記事をお読みくださいませ。 ●映画冒頭より。キャッチボールをしている途中で、妹に呼ばれた気がして振り返る紺野真琴。彼女が2度目に振り向くカットは、彼女を挟んで正反対の位置にあるカメラで撮ったアングル。細田監督ならではの切り返しだ。ちなみに「2-17」とはシーン2のカット17の意味 ●自転車に2人乗りして帰宅する真琴と千昭。「俺と……つきあえば?」と千昭の衝撃的なひと言。それに対して真琴は? この続きは劇場でどうぞ(笑)。「チラッチラッと真

  • WEBアニメスタイル_特別企画

    小黒 細田さんの作る作品もそうなんだけど、最近の劇場大作アニメって、描写が緻密な、リアル指向のものが多いよね。ひとつひとつの事をきっちりと表現する事が、映画的体験に必須と思われているのかもしれない。例えば海を旅するロマンを描いた作品で、海を海だと感じられなかったら、気持ちを入れて観られない。当は説得力のある表現であれば、緻密でなくてもいいし、リアルである必要もないんだろうけど。 細田 うん。必ずしもリアルである必要はないはずですよ。ただ、よく言われてる事だけどさ、リアルである事が、今のアニメーションにおける分かりやすい驚きであるのは確かなんじゃないのかな。 小黒 それはそうだ。リアルである事が観客にとっての価値を測りやすいから、リアルなものを作るわけだ。 細田 つまり、アニメーションで破天荒なものを描いても、それは驚きではない。なぜなら、それがアニメだから。 小黒 でもさ、それは理屈がひ

  • WEBアニメスタイル : アニメの作画を語ろう 湖川友謙

    『伝説巨神イデオン』『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』等で、湖川友謙が手がけたキャラクターデザインは、アニメファンに強烈なインパクトを与えた。そのアニメーションのスタイルはかつてないほどにリアル。シャープで、魅力的なものだった。彼の仕事は、独自の理論に支えられたものであり、影響を受けたクリエイターは数知れない。アニメのビジュアルを、一段階ステップアップさせたと言っても大袈裟ではないかもしれない。 僕らにもうかがいたい事が沢山あり、湖川さんも熱心に話してくださり、結果、取材は8時間におよぶ大ボリュームのものとなった。内容は彼の技術論、代表作のひとつである『さらば宇宙戦艦ヤマト ─愛の戦士たち─』、富野由悠季監督と組んだ一連の作品についてが中心である。なお、今回の取材にあたってリスト制作委員会の原口正宏に、フィルモグラフィーの作成を依頼。取材にも同席し、主にデータ面のフォローをしても

    WEBアニメスタイル : アニメの作画を語ろう 湖川友謙
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