路線バスなどを運行していた井笠鉄道が昨年10月末に事業廃止したのに伴い、同社の軽便鉄道時代の備品や車両を展示する「井笠鉄道記念館」(笠岡市山口)の存続が危ぶまれている。破産手続きの開始で所有権が破産管財人に移り、資産が処分対象となっているためだ。破産管財人は「どうなるかわからない」としており、地元住民や鉄道愛好家らは、笠岡市などに存続を求めている。(田村勇雄) 井笠鉄道は1911年、井原笠岡軽便鉄道として創立され、13年に井原―笠岡間の19・4キロで営業を開始。矢掛町や広島県福山市神辺町に延伸し、40年には総延長37キロに及んだ。しかし、自家用車の普及に伴って利用者が減り、71年に全線が廃止されてバス路線となった。 記念館は、81年に開館。旧新山駅の木造駅舎を活用し、待合室だった展示室には、合図灯やベル、レールの一部、切符や制帽など約100点が所狭しと並べられている。駅舎の隣には、当時活躍