「アイデア」と「表現」の狭間をたゆたう金魚かな。金魚電話ボックス事件大阪高裁判決の思考を追う 現代美術作品は著作権法でどこまで保護されるのか? 地裁と高裁で結論が逆転した注目の裁判「金魚電話ボックス事件」についてArt Lawを専門領域とする弁護士の木村剛大が両判決を比較しつつ、独自の視点を交え解説する。 文=木村剛大 山本伸樹 メッセージ 1998 出典=金魚電話ボックス事件訴状(http://narapress.jp/message/) 2021年1月14日、金魚電話ボックス事件に関する大阪高裁判決が下された(*1)。結果は、著作権侵害を認めなかった奈良地裁の判決(*2)を覆し、被告らに対して被告作品の制作を禁止し、55万円の支払いを命じる逆転判決だった。 金魚電話ボックス事件の経緯 この裁判の原告は、現代美術家の山本伸樹氏であり、山本氏が1998年(*3)に制作、発表した作品《メッ
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