日本の朝鮮統治は、当時はそれが常識であったとしても、現在の視点から見れば批判されうる部分があることは当然だろう。だが、当時の事跡を現代の価値観だけで判断するのは正しいことだろうか。さらには、すべてを現在の損得だけで覆い隠して、歴史に学ぶことができるのだろうか。少なくとも筆者には、適当と思えない。 日韓併合に対して、既得権益を失う朝鮮の支配者階級は激しく抵抗した。その一方で、李氏の圧政から解放された朝鮮大衆や、朝鮮の近代化を願う知識人たちは一抹の不本意を抱きながらも、新たな時代を期待した。それが日本統治時代の実相だった。 韓国ではこのことを知る世代が現役だった頃まで、日本に対するわだかまりがあったことも事実だが、決して日本による統治を否定してこなかった。同様に日本においても、戦前を知る世代が現役のうちは、左翼勢力がいくら誤った戦後教育に力を注いでも、国家としての根幹をゆるがすような事態にはい
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