キャラの思考法―現代文化論のアップグレード [著]さやわか 現在、漫画やアニメ、ゲームなどのオタク文化を論じる人文書はすでに珍しくなくなったが、本書の特徴は、キャラの概念を更新しながら論の枠組みを広げ、小説、音楽、映画、演劇、芸能などの分野も横断する批評を試みた点である。 本書は、伊藤剛の漫画批評が二次創作を視野に入れて提示した「キャラクター/キャラ」論に依拠し、キャラクターが登場人物を指すのに対し、キャラはその人物の特徴を指す。が、ユニークなのは、コミュニケーションによってキャラが書き換え可能になるという動的な見方を提示したことだ。すなわち、キャラが時間的な推移の要素をもつことを重視する。そして、コンテンツ消費が衰退しコミュニケーション消費に移行したという単純な図式で近年の動向が語られるのに対し、本書はコミュニケーションが物語に組み込まれていくという新しい分析のモデルを提示する。 ゲーム