太鼓をたたいて、絶滅が心配されるヨウスコウワニの繁殖行動を促そうという実験が、札幌市中央区の円山動物園であった。プロの演奏家の太鼓の音にワニの動きは活発になったが、残念ながら繁殖行動にはいたらなかった。 ヨウスコウワニは、中国の揚子江流域にいる体長1・5メートルほどの小型のワニで、生息数が150頭程度の「絶滅寸前種」(同動物園)という。動物園では2001年に初めて繁殖に成功。ワニが暮らす展示場の窓をたたくなどして、音と振動で発情を誘発するのが効果的、とわかった。 今回、市内のラジオ局の協力で太鼓演奏家の茂呂剛伸さんに演奏を依頼。今月9日、ワニの水槽の前で太鼓をたたいてもらった。それまでじっとしていたワニは太鼓の音が聞こえると動き始め、鳴き声をあげて発情を思わせる動きもした。 動物園の担当者は「ワニは夜行性なので、これをきっかけに今後、繁殖行動に入るかもしれない」と期待していた。