音楽は、太古から世界中で行われてきたコミュニケーション手段のひとつです。仲間と一緒に楽器を奏でる。誰かの歌声に耳を傾ける。そんな場面には、人々の想いやメッセージが交錯しているのではないでしょうか。この連載では、音楽とコミュニケーションについて、4回お話します。前半2回は、合奏での演奏者どうしのコミュニケーションについて扱います。後半2回は、演奏者と観客とのコミュニケーションにふれます。この連載では、コミュニケーションという用語をかなり広い意味で使っています。音楽では、言葉でのやり取りだけでなく、音、身ぶり手ぶりやアイコンタクトなども、大切なコミュニケーションの手がかりだからです。 合奏を聴いていて、あるいは演奏していて、演奏者どうしのタイミングが合っている/ズレているということを経験された方も多いのではないでしょうか。合奏がバラバラに聴こえないためには、ズレが小さい方がよいのは明らかです。