前回は、東電福島核災害の終息事業を著しく阻害している110万トン前後に達する貯水タンクの中身「ALPS”不完全”処理水」問題について総論概説しました。 重要なことは、タンクの中身の8割、90万トン近くの液体は、「ALPS”不完全”処理水」であって、「トリチウム水」と同等な扱いは国際的な基準や慣例を持ってしても不可能であることがおわかりいただけたと思います。 今回から重要と思われるトピックスを一つ一つ各論として論じていきます。 各論1は、皆さん大好きトリチウムです。 トリチウムは日本語表記で三重水素を指します。水素は陽子一つ、重水素(デューテリウム)は陽子一つと中性子一つ、三重水素は、陽子一つと中性子二つから原子核が構成されます。トリチウムは、原子核が不安定なため、半減期12.32年(簡単のため本稿では約12年とする)で弱いβ線を放出し、ヘリウム3に壊変する弱い放射性核種です。 トリチウムは