現代日本で、「君が代」は論争のたねとなる。論争はとくに、それを歌いたくない人に強制的に歌わせることについてのものだ。歌いたくない理由は、たいてい、この歌が、天皇に主権があるとされた明治憲法のもとでの国歌だったことによる。また、この曲が雅楽をもとに明治初期に新たに作曲されたものであり、近代の歌からも伝統的民謡からも孤立していて身近なものと感じにくいこともあるかもしれない。 しかし、歌詞に注目してみると、日本が世界に誇ることのできる歌だと言えそうな気がする。これは地球環境科学者、そのうちでも日本第四紀学会員である(もちろんいま学会を代表して発言しているわけではない)わたしの我田引水かもしれないが。 人間の1世代を仮に25年とすれば、「千代」は2万5千年、「八千代」は20万年ということになる。2万5千年前といえば、北アメリカ・ヨーロッパに大陸氷床が広がっていた氷期の最盛期に近い時代だ。氷が多かっ