火山と氷河の国アイスランド。美しく神々しい大自然にあふれるこの国では17世紀、恐ろしい魔術師狩りが行われていた。1625年から1683年の間に「魔術儀式をした」として21人が生きたまま焼かれる火あぶりの刑に処されたという法廷の記録が残っている。 アイスランドの魔魔術師狩りは、デンマークやドイツ北部で教育を受けた支配階級である貴族たちが持ち込んだ「ヨーロッパの魔女狩り」が基となっていた。裁判は、魔女狩りのハンドブックとして知られる『魔女に与える鉄槌』(ドイツ)の影響を強く受けながら行われたというが、アイスランドの魔術師狩りは他のヨーロッパ諸国とは大きく異なり、魔術を操るのは基本的に男性だとされていた。 法廷の記録には魔術師に関する裁判は130件行われ、170人が被告として裁きを受けたが、女性で火あぶりの刑に処されたのはわずか1人だったと記されている。罪名は「悪魔崇拝」ではなく、「人や家畜を病