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  • わが行きは久にはあらじ・・・巻第3-335 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> わが行きは久(ひさ)にはあらじ夢のわだ瀬にはならずて淵(ふち)にあらぬかも 要旨 >>> 私が筑紫に行く期間は長くはないだろう。吉野の夢のわだは、瀬に変ることなく、帰ってきたときも淵であってほしいものだ。 鑑賞 >>> 大伴旅人の歌。大宰府に赴任する直前の歌とされます。大宰帥は任期の定まった官だったことから、それほど長い赴任ではないだろうと推測しています。「夢のわだ」は、奈良県吉野町の宮滝付近の淵の名で、離宮のやや上流あたりから川が大きく湾曲し、底が深くなっている所。流れが緩やかになるので、船を浮かべて遊覧でき、夢心地になるところから名付けられたようです。いつか必ず再訪するので、昔通りの姿で待っていてほしいと言っています。 大伴旅人の略年譜 710年 元明天皇の朝賀に際し、左将軍として朱雀大路を行進 711年 正五位上から従四位下に 715年 従四位上・中務卿に 718年 中

    わが行きは久にはあらじ・・・巻第3-335 - 大和の国のこころ、万葉のこころ
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    japan-eat 2024/07/28
  • 東歌(39)・・・巻第14-3501~3503 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 3501 安波峰(あはを)ろの峰(を)ろ田に生(お)はるたはみづら引かばぬるぬる我(あ)を言(こと)な絶え 3502 我(わ)が目(めづま)人は放(さ)くれど朝顔(あさがほ)のとしさへこごと我(わ)は離(さか)るがへ 3503 安齊可潟(あせかがた)潮干(しほひ)のゆたに思へらばうけらが花の色に出(で)めやも 要旨 >>> 〈3501〉安波の岡の山田に生えるタワミズラのように、引き寄せたらすなおに靡き寄ってきて、私との仲を絶やさないでほしい。 〈3502〉私の愛しいを、人は割こうとするが、朝顔のとしさえこごと、私は決して離れるものか。 〈3503〉安齊可潟の潮がゆったり引いていくように、のんびりした気分で思っているなら、どうしておけらの花のように顔に出したりしようか。 鑑賞 >>> 3501の「安波」は地名、千葉県の安房か。上3句は「たはみづら」を導く序詞「たはみづら」は

    東歌(39)・・・巻第14-3501~3503 - 大和の国のこころ、万葉のこころ
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    japan-eat 2024/07/26
  • 壬申の乱での高市皇子の活躍を詠んだ歌・・・巻第2-199~201 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 199 かけまくも ゆゆしきかも[一に云ふ、ゆゆしけれども] 言はまくも あやに畏(かしこ)き 明日香の 真神(まかみ)の原に ひさかたの 天(あま)つ御門(みかど)を 畏くも 定めたまひて 神さぶと 磐隠(いはがく)ります やすみしし 我が大君の きこしめす 背面(そとも)の国の 真木(まき)立つ 不破山(ふはやま)越えて 高麗剣(こまつるぎ) 和射見(わざみ)が原の 行宮(かりみや)に 天降(あも)りいまして 天(あめ)の下 治めたまひ[一に云ふ、掃ひたまひて] (を)す国を 定めたまふと 鶏(とり)が鳴く 東(あづま)の国の 御軍士(みいくさ)を 召したまひて ちはやぶる 人を和(やわ)せと まつろはぬ 国を治めと[一に云ふ、掃へと] 皇子(みこ)ながら 任(よさ)し給へば 大御身(おほみみ)に 太刀(たち)取り佩(は)かし 大御手(おほみて)に 弓取り持たし 御軍士

    壬申の乱での高市皇子の活躍を詠んだ歌・・・巻第2-199~201 - 大和の国のこころ、万葉のこころ
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    japan-eat 2024/07/25
  • 潮干なば玉藻刈りつめ・・・巻第3-360~362 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 360 潮干(しほひ)なば玉藻(たまも)刈りつめ家の妹(いも)が浜づと乞(こ)はば何を示さむ 361 秋風の寒き朝明(あさけ)を佐農(さぬ)の岡(おか)越ゆらむ君に衣(きぬ)貸さましを 362 みさご居(ゐ)る磯廻(いそみ)に生(お)ふるなのりその名は告(の)らしてよ親は知るとも 要旨 >>> 〈360〉潮が引いたら藻を刈って集めておこう。家のが浜の土産を求めたなら、ほかに何も見せるものはないのだから。 〈361〉秋風が吹く寒い夜明けに、今ごろ佐農の岡を越えているだろうあなたに、私の着物を貸しておけばよかった。 〈362〉みさごが棲む磯の辺りに生えている名乗藻(なのりそ)ではないが、名を教えてほしい。たとえ親が知ったとしても。 鑑賞 >>> 山部赤人による瀬戸内の羈旅歌。360の「玉藻」の「玉」は美称。「浜づと」は、浜からの土産。361は、陸行の歌で、女の立場で詠んでいます

    潮干なば玉藻刈りつめ・・・巻第3-360~362 - 大和の国のこころ、万葉のこころ
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    japan-eat 2024/07/23
  • 相見ぬは幾久さにもあらなくに・・・巻第4-666~667 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 666 相(あひ)見ぬは幾久(いくひさ)さにもあらなくにここだく我(わ)れは恋ひつつもあるか 667 恋ひ恋ひて逢ひたるものを月しあれば夜は隠(こも)るらむしましはあり待て 要旨 >>> 〈666〉お互いに顔を合せなかったのはそんなに長い間でもなかったのに、なぜこんなにもしきりにあなたのことが恋しいのでしょう。 〈667〉ずっと恋い続けてやっとお逢いできたのです、まだ月が残っているので、夜の闇は深いでしょう、しばらくこのままでいましょうよ。 鑑賞 >>> 大伴坂上郎女の歌。この歌の前に、安倍朝臣虫麻呂(あべのあそみむしまろ)の「向ひ居て見れども飽かぬ我妹子に立ち別れ行かむたづき知らずも」(向かい合っていくら見ても見飽きることのないあなたと、どうして別れられましょう)という歌があり(665)、ここの歌はこれに答えたものです。また、左注に「郎女の母、石川内命婦(ないみょうぶ)と、

    相見ぬは幾久さにもあらなくに・・・巻第4-666~667 - 大和の国のこころ、万葉のこころ
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    japan-eat 2024/07/20
  • 奥山の岩本菅を・・・巻第3-397 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 奥山(おくやま)の岩菅(いはもとすげ)を根(ね)深めて結びし心忘れかねつも 要旨 >>> 山奥の岩かげに生えている菅草の根のように、ねんごろに契り合ったあの時の気持ちは、忘れようにも忘れられません。 鑑賞 >>> 笠郎女が大伴家持に贈った歌。「岩菅」は岩のに生えている菅。笠などにする湿地の菅とは異なり、山地に生える山菅(ヤブランともいう)のこと。「奥山の岩菅を根深めて」は、家持に対する深い恋情を具象的に言ったもので、比喩に近い序詞。窪田空穂は、「気分だけをいったものであるが、技巧の力によって、軽くなりやすいものを重からしめているもので、才情を思わしめる歌である」と述べています。 笠郎女は、大伴家持が若かったころの愛人の一人で、宮廷歌人・笠金村の縁者かともいわれますが、生没年も未詳です。金村はそれほど地位の高い官人ではなかったため、郎女も低い身分で宮廷に仕えていたのでし

    奥山の岩本菅を・・・巻第3-397 - 大和の国のこころ、万葉のこころ
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    japan-eat 2024/07/19
  • 防人の歌(35)・・・巻第20-4404 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 難波道(なにはぢ)を行きて来(く)までと我妹子(わぎもこ)が付けし紐(ひも)が緒(を)絶えにけるかも 要旨 >>> 難波道を行って帰ってくるまではと、が縫い付けてくれた着物の紐が切れてしまった。 鑑賞 >>> 上野国の防人の歌。「難波道を行きて来まで」は、難波へ行く道を通って、またここへ帰って来るまで。切れないだろうと思っていた紐が切れてしまい、何か不吉なことが起きなければいいが、と心配している歌です。 徴発された防人は、難波津までの道のりを、防人部領使(さきもりのことりづかい)によって引率されますが、部領使は馬や従者を連れていますから、当人は馬に乗り、荷物も従者に持たせています。しかし、防人たちは自ら荷物を抱えての徒歩のみで、夜は寺院などに泊まることができなければ野宿させられました。 万葉集 巻二十 防人歌 作者:植木 久一 海鳥社 Amazon

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    japan-eat 2024/07/18
  • 繩の浦ゆそがひに見ゆる・・・巻第3-357~359 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 357 繩(なは)の浦ゆそがひに見ゆる沖つ島 漕(こ)ぎ廻(み)る舟は釣りしすらしも 358 武庫(むこ)の浦を漕(こ)ぎ廻(み)る小舟(をぶね)粟島(あはしま)をそがひに見つつ羨(とも)しき小舟 359 阿倍(あへ)の島 鵜(う)の住む磯(いそ)に寄する波 間(ま)なくこのころ大和(やまと)し思ほゆ 要旨 >>> 〈357〉縄の浦の背後に見える沖合の島、その島の辺りを漕ぎめぐっている舟は、釣りをしている最中のようだ。 〈358〉武庫の浦を漕ぎめぐっている小舟は、粟島を後ろに見ながら都の方へ漕いで行く。ほんとうに羨ましい小舟よ。 〈359〉阿倍の島の、鵜の棲む磯に絶え間なく波が打ち寄せている。その波のように、この頃はしきりに大和が思われる。 鑑賞 >>> 山部赤人による瀬戸内の羈旅歌。357の「縄の浦」は、兵庫県相生市那波の海岸。「そがひ」は、後ろの方。358の「武庫の浦」は

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    japan-eat 2024/07/17
  • 東歌(37)・・・巻第14-3499 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 岡に寄せ我(わ)が刈る萱(かや)のさね萱(かや)のまことなごやは寝(ね)ろとへなかも 要旨 >>> 陸の方に引き寄せながら刈っている萱のように、あの娘は、ほんに素直に私に寝ようと言ってくれない。 鑑賞 >>> 上3句は「なごや」を導く序詞。「なごや」は、柔らかいもの。ここでは女性の比喩。口説いても応じない女のことを思い、嘆息している歌です。ただ、「寝ろとへなかも」は、寝ようと言うのかな、とも解されます。窪田空穂はこの歌について、「この種の歌としては、心細かい、語のこなれた、すぐれたものである」と述べています。 巻第14と東歌について 巻第14は「東国(あづまのくに)」で詠まれた作者名不詳の歌が収められており、巻第13の長歌集と対をなしています。国名のわかる歌とわからない歌に大別し、それぞれを部立ごとに分類しています。当時の都びとが考えていた東国とは、おおよそ富士川と信濃川を結

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    japan-eat 2024/07/15
  • 吾妹子に猪名野は見せつ・・・巻第3-279~281 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 279 吾妹子(わぎもこ)に猪名野(ゐなの)は見せつ名次山(なすきやま)角(つの)の松原いつか示さむ 280 いざ子ども大和へ早く白菅(しらすげ)の真野(まの)の榛原(はりはら)手折(たを)りて行かむ 281 白菅(しらすげ)の真野(まの)の榛原(はりはら)往(ゆ)くさ来(く)さ君こそ見らめ真野の榛原 要旨 >>> 〈279〉いとしいよ、お前に猪名野は見せた。今度は名次山と角の松原を、早く見せてやりたいものだ。 〈280〉さあみんな、大和へ早く帰ろう。白菅の茂る真野の榛(はん)の木の林で小枝を手折って行こう。 〈281〉白菅の生い茂る真野の榛原を、あなたは往き来にいつもご覧になっているのでしょう。私は初めてです、この美しい真野の榛原は。 鑑賞 >>> 高市黒人夫が従者と共に真野へ遊覧に行った時に詠まれたもので、279は黒人がに与えた歌、280は従者たちに呼びかけた歌、2

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    japan-eat 2024/07/14
  • 遠妻し多珂にありせば・・・巻第9-1744~1746 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 1744 埼玉(さきたま)の小埼(をさき)の沼に鴨(かも)ぞ羽(はね)霧(き)る 己(おの)が尾に降り置ける霜を掃(はら)ふとにあらし 1745 三栗(みつぐり)の那賀(なか)に向へる曝井(さらしゐ)の絶えず通はむそこに(つま)もが 1746 遠(とほづま)し多珂(たか)にありせば知らずとも手綱(たづな)の浜の尋ね来(き)なまし 要旨 >>> 〈1744〉埼玉の小埼の沼で、鴨が羽ばたいてしぶきを飛ばしている。尾に降り置いた霜を払いのけようとしているらしい。 〈1745〉那賀の向かいにある曝井の水が絶え間なく湧くように、絶えず通おう。そこで布を洗う女たちの中に、都のがいるかもしれない。 〈1746〉遠く大和にいるがここ多珂郡にいるとすれば、たとえ道がわからなくても、私が今いる手綱の浜の名のように、私を訪ねて来てくれるだろうに。 鑑賞 >>> 高橋虫麻呂が常陸国に赴任して

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    japan-eat 2024/07/13
  • 百足らず山田の道を・・・巻第13-3276~3277 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 3276 百(もも)足らず 山田(やまだ)の道を 波雲(なみくも)の 愛(うつく)し(づま)と 語らはず 別れし来れば 早川の 行きも知らず 衣手(ころもで)の 帰りも知らず 馬(うま)じもの 立ちてつまづき 為(せ)むすべの たづきを知らに もののふの 八十(やそ)の心を 天地(あめつち)に 思ひ足(た)らはし 魂(たま)合はば 君来ますやと 我(わ)が嘆く 八尺(やさか)の嘆き 玉桙(たまほこ)の 道来る人の 立ち留(と)まり 何かと問はば 答へやる たづきを知らに さ丹(に)つらふ 君が名言はば 色に出でて 人知りぬべみ あしひきの 山より出づる 月待つと 人には言ひて 君待つ我(わ)れを 3277 寐(い)も寝ずに我(あ)が思(おも)ふ君はいづく辺(へ)に今夜(こよひ)誰(たれ)とか待てど来(き)まさぬ 要旨 >>> 〈3276〉山田の道を、いとしいとろくに睦み合

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    japan-eat 2024/07/12
  • 為むすべのたづきを知らに・・・巻第13-3274~3275 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 3274 為(せ)むすべの たづきを知らに 岩が根の こごしき道を 岩床(いはとこ)の 根延(ねば)へる門(かど)を 朝(あした)には 出(い)で居(ゐ)て嘆き 夕(ゆふへ)には 入り居て偲(しの)ひ 白たへの 我(わ)が衣手(ころもで)を 折り返し ひとりし寝(ぬ)れば ぬばたまの 黒髪(くろかみ)敷きて 人の寝(ぬ)る 味寐(うまい)は寝(ね)ずて 大船(おほぶね)の ゆくらゆくらに 思ひつつ 我(わ)が寝(ぬ)る夜(よ)らを 数(よ)みもあへむかも 3275 ひとり寝(ぬ)る夜(よ)を数へむと思へども恋の繁(しげ)きに心どもなし 要旨 >>> 〈3274〉どうしてよいのか、取っ掛かりも分からず、岩のごつごつした道なのに、どっしりした岩床のような門口なのに、朝にはその道に佇んで嘆き、夕方には門の中に籠って偲び、着物の袖を折り返してひとり寝るばかりで、折り返した袖に黒髪を敷

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    japan-eat 2024/07/11
  • 明日よりは我が玉床をうち掃ひ・・・巻第10-2048~2050 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 2048 天の川 川門(かはと)に立ちて我(わ)が恋ひし君来ますなり紐(ひも)解き待たむ 2049 天の川 川門(かはと)に居(を)りて年月(としつき)を恋ひ来(こ)し君に今夜(こよひ)逢へるかも 2050 明日よりは我(わ)が玉床(たまどこ)をうち掃(はら)ひ君と寐(い)ねずてひとりかも寝む 要旨 >>> 〈2048〉天の川の舟着き場に立って、私の恋しいあなたがやってくるのを、下紐を解いてお待ちしましょう。 〈2049〉天の川の舟着き場に立ち、一年もの長い月日を恋い焦がれてきたあなた、そのあなたにやっと今夜お逢いできました。 〈2050〉明日からは、この私たちの寝床をきれいにしても、あなたとは寝られず、ひとり寂しく寝なることになるのだろうか。 鑑賞 >>> 七夕の歌。2048の「川門」は、川の流れが門のように狭くなっている所。ここでは船着き場。「来ますなり」の「ます」は、尊

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    japan-eat 2024/07/07
  • 遣新羅使人の歌(24)-3684~3687 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 3684 秋の夜を長みにかあらむなぞここば寐(い)の寝(ね)らえぬもひとり寝(ぬ)ればか 3685 足日女(たらしひめ)御船(みふね)泊(は)てけむ松浦(まつら)の海(うみ)妹(いも)が待つべき月は経(へ)につつ 3686 旅なれば思ひ絶えてもありつれど家にある妹(いも)し思ひ悲(がな)しも 3687 あしひきの山飛び越ゆる鴈(かり)がねは都に行かば妹(いも)に逢ひて来(こ)ね 要旨 >>> 〈3684〉秋の夜が長いせいであろうか、どうしてこんなに寝るに寝られないのか、たった一人で寝るからだろうか。 〈3685〉足日女(たらしひめ)の御船が泊まったという、この松浦の海、その名のようにが待っているはずの約束の月も、いたずらに去っていく。 〈3686〉旅の身なので何とか諦めてはいたが、家に残してきたのことだけは、思うと悲しい。 〈3687〉山を飛び越えていく雁よ、奈良の都に飛

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    japan-eat 2024/06/30
  • 外のみに見つつ恋ひなむ・・・巻第10-1993 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 外(よそ)のみに見つつ恋ひなむ紅(くれなゐ)の末摘花(すゑつむはな)の色に出(い)でずとも 要旨 >>> せめて遠目にだけでも姿を見て慕っていよう。鮮やかな紅花のように、はっきりと思いを打ち明けなくても。 鑑賞 >>> 作者未詳の「花に寄せる」歌。「外のみに」は、せめて遠目にだけでも。「末摘花」は、紅花(べにばな)の別名で、先の方に咲く花を摘んで強い赤色を製するところからそう呼ばれます。「色に出でずとも」の「色に出づ」は、表面にあらわす意で、恋を打明けていわずとも。

    外のみに見つつ恋ひなむ・・・巻第10-1993 - 大和の国のこころ、万葉のこころ
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    japan-eat 2024/06/26
  • 越の海の角鹿の浜ゆ・・・巻第3-366~367 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 366 越(こし)の海の 角鹿(つのが)の浜ゆ 大船(おほぶね)に 真梶(まかぢ)貫(ぬ)き下ろし 鯨魚(いさな)取り 海路(うみぢ)に出(い)でて 喘(あへ)きつつ 我(わ)が漕(こ)ぎ行けば ますらをの 手結(たゆひ)が浦に 海人娘子(あまをとめ) 塩(しほ)焼く煙(けぶり) 草枕(くさまくら) 旅にしあれば ひとりして 見る験(しるし)なみ 海神(わたつみ)の 手に巻かしたる 玉たすき 懸(か)けて偲(しの)ひつ 大和島根(やまとしまね)を 367 越(こし)の海の手結(たゆひ)が浦を旅にして見れば羨(とも)しみ大和 偲(しの)ひつ 要旨 >>> 〈366〉越の海の敦賀の浜から大船の舷(ふなばた)に艪(ろ)をたくさん取り付けて、海に乗り出して喘ぎながら漕いでいくと、立派な男子を思わせる手結(たゆい)の海岸で、海人娘子たちが藻塩を焼く煙が立っているのが見える。旅の途上でひ

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    japan-eat 2024/06/24
  • 隠りのみ恋ふれば苦し・・・巻第10-1992 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 隠(こも)りのみ恋ふれば苦しなでしこの花に咲き出(で)よ朝(あさ)な朝(さ)な見む 要旨 >>> 人目を忍んで心ひそかに恋続けるのはつらいものです。せめて、なでしこの花になって我が家の庭に咲き出てください。そうすれば朝ごとに見ることができますのに。 鑑賞 >>> 作者未詳の「花に寄せる」歌。上の解釈は女の歌としましたが、男の立場から、関係を結んでいる女がいつまでも母に秘密にしているのに気を揉み、なでしこの花のように咲き出て母に打ち明けよ、そうして毎朝見るように逢おう、と命じたものとする解釈もあります。「隠る」は、内に含まれている、物陰にひそむ、外から見えない状態。撫子の花は朝に咲きます。

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    japan-eat 2024/06/14
  • 垂姫の浦を漕ぐ舟・・・巻第18-4048,4051 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 4048 垂姫(たるひめ)の浦を漕ぐ舟(ふね)楫間(かぢま)にも奈良の我家(わぎへ)を忘れて思へや 4051 多祜(たこ)の崎(さき)木(こ)の暗茂(くれしげ)に霍公鳥(ほととぎす)来(き)鳴き響(とよ)めばはだ恋ひめやも 要旨 >>> 〈4048〉垂姫の浦を漕ぐ舟の、楫をほんのひと引きする合間にさえも、奈良の我が家を忘れることがあろうか。 〈4051〉多祜の崎の木陰の茂みに、ホトトギスが来て鳴き立ててくれたら、こうもひどく恋しがることはないのに。 鑑賞 >>> 大伴家持の歌。天平20年(748年)3月、春の出挙が終わって後に、都から左大臣・橘諸兄の特使として田辺福麻呂(たなべのさきまろ)が訪れました。橘諸兄はこの時すでに従一位・左大臣の位にあり、福麻呂は左大臣家に出向し、家事を兼任していたとされます。来訪した福麻呂は、23日に家持の館でもてなしを受け(巻第18-4032~4

    垂姫の浦を漕ぐ舟・・・巻第18-4048,4051 - 大和の国のこころ、万葉のこころ
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    japan-eat 2024/06/13
  • 奈呉の海に舟しまし貸せ・・・巻第18-4032~4036 - 大和の国のこころ、万葉のこころ

    訓読 >>> 4032 奈呉(なご)の海に舟しまし貸せ沖に出(い)でて波立ち来(く)やと見て帰り来(こ)む 4033 波立てば奈呉の浦廻(うらみ)に寄る貝の間(ま)なき恋にぞ年は経(へ)にける 4034 奈呉の海に潮(しほ)の早(はや)干(ひ)ばあさりしに出(い)でむと鶴(たづ)は今ぞ鳴くなる 4035 霍公鳥(ほととぎす)いとふ時なしあやめぐさかづらにせむ日こゆ鳴き渡れ 4036 如何(いか)にある布勢(ふせ)の浦(うら)そもここだくに君が見せむと我(わ)れを留(とど)むる 要旨 >>> 〈4032〉あの奈呉の海の沖に出て行くのに、ほんのしばし舟を貸してください。波が立ち寄せて来るかどうか見て来たいものです。 〈4033〉波が立つと、奈呉の浦辺に絶え間なく寄ってくる貝。そのように絶え間もない恋のせいで、いつのまにか年が過ぎてしいました。 〈4034〉奈呉の海で、潮が引いたらすぐに餌を取り

    奈呉の海に舟しまし貸せ・・・巻第18-4032~4036 - 大和の国のこころ、万葉のこころ
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    japan-eat 2024/06/11