日記に書いて、自分の恐怖心を薄めることにする。 今日の昼間、私は銀座に行く用事があったので、最寄の三軒茶屋駅から田園都市線に乗った。乗り込む際、私がその車両ドアの最後尾となったため、手前のドアに向かって立つ格好となった。発車と同時に、私に背を向けて立っていた女が落ち着きなく動き出し、女が被っている毛のついたフードが私の頭にパサッと被さってきたり、着ているナイロンコートのすべすべした感触が、私の背中やお尻にまとわりつくほど自分の身体をくっつけてきたので、内心、「カーブでもないのに変なの。」と思いつつ、田園都市線の上りはドア付近は混むのが常なので、そのまま黙って前を向いて立っていた。 乗車した急行電車は池尻大橋駅を通過し、いよいよ渋谷駅に近づいてきた。すると、私のすぐ傍、座席の端に座っていた男がおもむろに立ち上がり、私の足元に置かれた大きなキャリーバッグの取っ手を掴んだり放したりもぞもぞと動き