城に戻ると、月明かりの中、庭園の四阿でシュリーパドマが小さなヴィーナを爪弾いていた。姫の体格に合わせて作られた小ぶりの五絃琵琶である。その向かいで仲の良い老夫婦が、とろけそうな、幸せな笑みを浮かべて聞き惚れていた。 スヴァヤン・ヴァラ(婿選び式)の夜にシタールを弾いていた姿を思い出す。あの大きな楽器は姫の手に余るように見えたが、今、なだらかな曲線を描く細い首の琵琶は姫の心のままに軽やかな明るい音で歌っていた。沙羅の花がほろほろとこぼれるような、聴く者の心を温かくする音色に、つい足を止めて聞き入ってしまう。 ハルシュは団らんを邪魔しないよう少し離れて木の幹に寄りかかり、しばし耳を傾けた。 ☆ 『天竺花語り』P119~ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 古代インドを舞台にした物語で、 主人公のシュリーパドマ姫が、琵琶を弾いている場面です。 こっぱずかしいですが、引用…(°_° ///