→紀伊國屋書店で購入 現代アイルランドの作家、ジョン・バンヴィルによるケプラーの伝記小説である。バンヴィルは本作の前後に『コペルニクス博士』(白水社、絶版)と『ニュートン書簡』(未訳)という科学者の生涯に取材した小説を書いていて「科学革命三部作」と称している。 バンヴィルは実験的なポストモダン作家として知られており、解説によると本作にもいろいろな仕掛けがあるということだが、仕掛けに関係なく(仕掛けにもかかわらず)、おもしろい小説である。 ケストラーの『ヨハネス・ケプラー』では生きるのに不器用な頑固者として描かれていたが、こちらのケプラーは所帯やつれし、悪臭のたちこめる中世の街路を不機嫌に歩きまわる。濃いのである。 物語は1600年2月、ティコ・ブラーエの亡命先の城館にケプラー一家が到着するところからはじまる。 ケプラーは貧しい生まれながら大公の慈悲で大学を卒業し、グラーツの修道院付属学校の
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