「音が曲がって聞こえる」という聴覚障害をもつ作曲家・佐村河内守さんを取材したドキュメント映画『FAKE』(森達也監督)が、渋谷ユーロスペースで記録的な大ヒットになっている。 その『FAKE』の感想についてはこのブログに書いたが、耳が満足に聞こえないことは、その当事者にとって「健聴者とのコミュニケーション」の難しさは日常的な課題になってしまう。 これは、「日本手話」や「口話」(口の動きの読み取り)という言語と、健聴者にとっては当たり前に発音される「日本語」では、文法だけでなく、文化と関係作法に違いがあるからだ。 あえてわかりやすくたとえるなら、アフリカ人と日本人がいきなり出会っても、どう意思疎通していいのか、両者ともにわからず、困ってしまうはずだ。 それと同様に、自分自身が当たり前に考えている礼儀やつきあい方を文化の異なる相手にわかってもらおうとすれば、相手の言語や文化、関係作法を知ろうとし