武藤康史が『考える人』に、国会図書館デジタル化についての見開きエッセイを書いている。武藤は自宅ではパソコンを使わない人で、パソコンがどういう形をしているのかも知らないと言っていたが、国会で使っているのだからそれは嘘だろう。 ところでその中に、 私が見る資料はたいてい「国立国会図書館限定」と表示され、つまり自宅にコンピュータ(原文ママ)を設置しているような人間が送信によって安直に読むことは許されず、ここに足を運んだ者のみが享受しうる幸せがあり などとあるのだが、武藤は地方在住の篤学者のことなど頭にないらしく「安直」などと書いてしまうのである。まったく東京生まれのやつはこれだよ。 (小谷野敦)