ボツリヌストキシンの分子構造 ボツリヌストキシン(Botulinum toxin (BTX) or Botox)は、分子量が15万ほどのタンパク質で、ボツリヌス菌が産生する複合体毒素である。ボツリヌス毒素とも呼ばれる。毒素産生菌は、毒素型によりA,B,C,D,E,F,G の7種類に大別されているが、産生される毒素も抗原性の違いによりA,B,C,D,E,F,G の7種類に分けられている。医薬品としては筋肉を収縮させないよう働く作用を利用して、痙縮の緩和や美容に用いられる。 ヒトでは、A,B,E,F型毒素で中毒を発生する事が多く、鳥類と哺乳類では C,D型毒素で中毒する事が多い[1]。毒素が含まれる食品の喫食はボツリヌス菌食中毒の原因となり、極めて毒性が強い(致死量:ヒトに対しA型毒素を経口投与した場合、体重1kgあたりの致死量が1μg[2] と推定されている。マウスに対する最小致死量 (ML