界面活性剤は、ひとつの分子の中に「水になじみやすい部分(親水基)」と「油になじみやすい部分(親油基または疎水基:これからの説明には原則として疎水基の方を用います)」の両方をあわせもつという特徴をもっています(下図を参照)。 ひとつの分子の中に親水基と疎水基をあわせもつというこのたいへんユニークな化学構造のため、界面活性剤はいろいろな性質を示します。その中から基本的な性質について説明しましょう。 ①表面張力(界面張力)の低下 静かに水をコップに満たしていくと、水はコップの端から盛り上がってもこぼれません。これは水がお互いの分子同士で強く引き合っている(表面張力が強い)からです。ここに薄めた台所洗剤を1滴たらすと、表面張力が弱まって盛り上がった部分の水はこぼれてしまいます。なぜ表面張力が弱まるのでしょうか? 台所洗剤に含まれる界面活性剤は一瞬のうちに水の表面に配列して表面を覆ってしまいます。こ