私はY。このコラムを担当している。 最終回にもかかわらず、冒頭から私がご挨拶した理由をまずお詫びし、お断りしておかなければならない。 何故、私がご挨拶申し上げたかというと――、その前に、とりあえず著者から届いたメールをご覧になっていただきたい。 『映画好きが集まると、当たり前のように映画談義になる。 好きな映画について語るのは楽しいが、ときおり困ったことを言い出すやつがいる。 これまで観た映画のベスト3を挙げろ、といった類のことだ。 なかなか面白いことなので、一応は考えてみる。あれもいい、これもいいと好きな映画を思い浮かべているうちについつい真剣に考え始め、いままで和気藹々と語らっていた場が途端に真面目なそれになり、本気になって呻吟し、誰かがちょっと喋っただけで、うるさい黙ってろ、いま考えているんだなどと語気を荒げ、ついにはベスト3なんか決められるか、と投げ出すことになる。あまたある作品