現在安倍政権のもとで、総額2兆円を超える子育て支援や教育支援の導入が議論されている。高齢者向けに偏ってきた日本の社会保障のあり方が変わるのかどうか注目される。とはいえ、今日の日本が直面しているのは子育て・教育支援には限定されない。それはより複合的な問題、いわば「三重苦」である。 第一に、日本の財政は過去20年にわたって歳入と歳出の不均衡を続けてきた。現在の政府債務残高はGDP比で約240%と先進国で突出した値になっている(2番目はイタリアの130%)。深刻な財政状況のもと、安倍政権ではすでに2014年、2016年の二度にわたって消費税増税が延期されてきた。今回の子育て・教育支援策の財源は、主に2019年から予定されている10%への消費税引き上げの増収分を充てるとしており、財政再建への道は見えていない。 第二に、日本社会は今後長期にわたる少子化と高齢化に直面していく。日本はすでに世界でもっと