「OnDeck提言2016 出版社の課題と対策」-日本の平均的出版社が抱えている電子出版への課題と、その対策- 「OnDeck提言2016 出版社の課題と対策」 -日本の平均的出版社が抱えている電子出版への課題と、その対策- 電子出版イノベーションのビジネス実践誌「OnDeck」の約5年間の取材や実証実験から分かった、日本の平均的出版社が抱えている電子出版ビジネスに対する課題と、その対策についての提言です。 ●出版産業全体がイノベーションのジレンマに陥っており、電子出版を本格化できない イノベーションのジレンマとは、新しいイノベーションが起きたとき、それまでの優良企業が新興勢力の前に力を失う現象だが、出版業界は電子出版というイノベーションに対してまさにそれが起きている。具体的には、売上規模が伝統的出版に対しまだ小さいので電子出版を本格化できない、電子出版では業務内容が変わるので一気に切り替
前回の熊本地震の緊急報告に大きな反響を頂きましたので、今回も引き続き私が体験したことを、記憶が鮮明なうちにお伝えしておきたいと思います。本コラムの主旨からは脱線しますが、いまや日本中の皆さんに関心があることだと思いました。教訓も書きましたので、ぜひ最後までお読みください。 私が体験したのは、益城町での16日未明の震度7以降の地震です。益城町の震度計はこの大地震で壊れたそうで、後に震度7と訂正されました。 私はベッドに寝ていたのですが、それは突然大きな音で始まり、起こされました。家が激しくきしみ、身体がベッドの上を大きく行き来しました。「揺れ」というよりは、ものすごい力で引きずられて、反転、また引きずられて、反転、・・・、という感じで、家全体が何か大きなものに揺さぶられているようでした。 そしてこの揺さぶりは、信じられないことに1回ではなく、いつ終わるのかと思うくらい長く続きました。20分ま
今回は緊急報告として、熊本地震についてのどこにも出ていない情報をお伝えしたいと思います。 実は私は、今回の地震で有名になった益城町の出身なのです。最初の14日の地震で家族が被災し避難所に収容されたとの連絡を受け、翌日夕方に飛行機で熊本に入りました。その夜は損傷を受けた自宅に泊まり、「本震」を体験する羽目になってしまいました。震度6クラスの余震は覚悟して行ったのですが、まさか震度7とは。「ミイラ取りが・・・」とはこのことで、自分も避難者となってしまいました。 私が入れてもらった避難所は、益城町が運営する情報交流センター「ミナテラス」。テレビでよく出ている総合体育館の隣の施設で、100人くらいの避難者が収容されていました(体育館は約1000人)。 主にミナテラスで見た、被災地でメディアがどのように使われていたかを報告したいと思います。取材目的で行ったのではないし、2つの施設しか見ていませんので
いつもOnDeckをご愛読頂き、ありがとうございます。 2010年12月に“電子出版イノベーションのビジネス実践誌”として創刊した本OnDeckですが、この4月いっぱいで公開情報誌としての役割を終了させて頂こうと思っています。 理由は2つです。1つは、創刊当初の目的だったEPUBの普及啓蒙に加え、電子出版の立ち上がり期の公開情報誌としての役割を終えたのではないかと思うことです。もう1つは、この間に取り組んできたいろいろな実証実験により得られた情報やノウハウを利用して、自ら事業者として実行していきたいと思うからです。 OnDeckが扱ってきた電子出版は、ITが出版という領域に作用して生み出されたイノベーティブなテーマですが、それは同時に我々出版メディアの生業の変革でもあります。つまり、自分たちが立っている土台が激変していく様を、自ら実況中継しているようなものでした。そのためOnDeckでは、
IDPFは次期電子書籍のファイル形式であるEPUB3.1のドラフトを公開し、広く意見を募っている。この仕様策定に日本から加わっている村田真氏(日本電子出版協会技術主任)は公開したドキュメントにおいて、重要な点の指摘をしている。それは「現在、打ち出されている重要な原則として『EPUB 3.0/3.0.1の出版物は、変換作業を行わないとEPUB 3.1には適合しない。』がある。日本から、この原則に対して注文をつけるのなら1月のドラフトが公開されてから一か月程度のうちにそうすべきであろう。」ということだ。 この村田氏の指摘は、EPUBの仕様ひとつひとつのことを問題にするまえに、EPUBの仕様のバージョンアップにあたり、過去のEPUBファイルとの互換性が失われる可能性を示唆している。つまり、EPUBファイルは、CMS(コンテンツマネジメントシステム)などを使って、抽象度の高いレベルで論理構造をマー
国立国会図書館にラテン文字とギリシャ文字を羅列した書籍78冊(出版社は現代アートだとしている)が納本され、その代償金として約136万円が支払われた。これが不正受給に当たるのではないかとインターネット上で指摘されていた。国会図書館はこれについて調査をした模様だ。出版社によれば、国会図書館からは返金を求められたと報じられている。 国会図書館の納本条件は「頒布目的」で発行され、「相当部数の製作」が行われ、「メモ・カレンダーなどの実用品でない」の3点であり、内容の審査はない。そして、条件に合致したものが納本されれば対価が支払われる。国会図書館は「オンデマンド方式を代償金目当てに悪用できることが明らかになった」とし、今後はオンデマンド本に代償金を支払う際の審査を厳格化するとのことだ。具体的にどのような点が厳格化されるのかは記事からはわからないが、少部数でも発行できるという専門性の高い書籍や、売れるつ
前回のOnDeck編集会議で、初めてOnDeck編集部全員が表紙案を見ました。実は、数日前にラフと文字校正用の仮表紙データがデザイナーから届いていましたが、編集部全員でそれを見るのは初めてでした。反応は「おおっ」「さすが」といったもので、みな気分が高揚した様子でした。私も初めて見たときは、「すごい」のひと言でした。 NextPublishingを使って発行されるインプレスR&Dの書籍では「表紙申請書」という書類でデザイナーに表紙の発注します。表紙申請書には、判型やページ数、縦横の情報や表紙に入れる文字の情報を記入します。一見シンプルですが、発注するタイミングが難しいのが表紙です。書名(副題)や帯コピーなど表紙に入れる文字が変わるとバランスや配置などデザインに影響するので、書誌や奥付、スケジュールとの関わりが大きいからです。 そして1週間後、表紙案が届きました。届いた表紙案は文字校正とともに
OnDeck編集長の連載「電子メディア雑感」がやっと書籍化されます。 編集長がEPUB本誌で告知したところ大きな反響をいただきました。それが今年の4月のことだったので半年ほどみなさんをお待たせしたことになりますが、やっと書籍化に向けて動き出しました。 タイトルは『赤鉛筆とキーボード』。発行は11月13日予定です。出版とインターネットの橋渡しになるような内容なので、出版関係者や編集者の方、インターネット側のみなさんのどちらにもおすすめです。 そしてOnDeckらしく、久しぶりに書籍化までのプロセスを公開します。「編集」が主なテーマの連載ですが、今回はそれを初めてする者が編集担当です。そこで「OnDeckコラボレーション(OnDeckコラボ)」と題して、本をつくる過程でみなさんからアドバイスをいただきたいと思っています。OnDeckは「デジタル」という印象が強いかもしれませんが、実は、読者層は
このところ、米国電子出版市場が停滞しているというニュースが複数報告されています。米国の書籍出版売上に占める電子書籍の売上比率が30%前後で伸びない、または対前年比でマイナスになっているというものです。 この見解の解釈には注意しなければならない点があります。この見解は、米国出版社協会(AAP)が発表している調査結果が主なニュースソースになっていると思われますが、その母集団はビッグ5と呼ばれる米国の大手出版(ペンギン・ランダムハウス、アシェット、ハーパーコリンズ、サイモン&シュスター、マクミラン)を中心とした伝統的出版社の数字が元になっているという点です。この中には、新興の電子出版社やセルフパブリッシングによる売上は含まれていないとのことです。別の調査では、セルフパブリッシングの販売部数がビッグ5と拮抗してきたという調査結果も出ています。 冷静に見て、AAPの調査結果から言えることは「伝統的出
[視点]「電子書籍ブームはいったん終わり、再び紙書籍の時代になる」(サイモンアンドシュースターCEO) すでに、本誌でも何度か取り上げてきたのであらためて詳細を述べないが、米国の電子書籍市場の成長が停滞している。そして、2015年上半期は昨年同期比で10%の減少をしていると報じられている(参考記事)。これに関して、米国大手出版5社のうちの1社であるサイモンアンドシュースター社のCEOがコメントしたようだ。報道によれば、「電子書籍ブームはいったん終わり、再び紙書籍の時代になる」と明言したという。また、「それは自社による電子書籍の価格大幅引き上げが原因ではないか」という質問に対して、「電子書籍のエージェンシーモデルに関して係争中のため、コメントできない」としているという。翻訳されている記事なので、どのような文脈で、どのようなニュアンスを持って語られたことなのかは不明なので、あまり踏み込んだ考察
米国の電子書籍市場の減速が報じられてた後、各媒体がこの状況に関しての分析や論評を掲載している。それらを総合すると、大手出版社がアマゾンとの取引条件交渉で獲得した価格決定権、すなわちエージエンシーモデルによって、小売価格をじわじわと上昇させ、印刷版との価格差がなくなりつつあるところまで来たことが主因ではないかとしている。価格差がそれほどないのであれば、手元にカタチとして残る印刷版を選択したくなる読者もいるということのようだ。確かに、読書好きな人にとって、本を購入する予算はそれなりの金額になるので、少しでも安い方が経済的には助かるという側面はあっただろう。一方で、アマゾンがいうように電子版であれば注文してから、すぐに手に入るというメリットもあるが、印刷版でも配送にかかる時間は短縮されつつあるので、そのメリットとデメリットをてんびんにかけて考えるという厳しい消費者の価値観が現れていると思える。
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