焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件で浮き彫りになった「生食用食肉の衛生基準」の形骸化問題で、厚生労働省が、全国自治体の食品衛生担当者から食中毒防止策の不備を再三指摘され、法的強制力のある基準づくりを求められながら、検討を先送りしていたことがわかった。 厚労省は、福井市の男児(6)ら4人が犠牲になった今回の事件を受けて生食用食肉の取り扱いの規制強化に向けて動き出したが、自治体や消費者団体からは「遅すぎる」と批判の声が上がっている。 福井県では毎年6月、焼き肉店などに立ち入り指導を実施。厚労省から「衛生基準を満たした生食用食肉の出荷はない」との情報を得ていたが、実際には多くの店で生肉が提供されている実態に、県担当者は「自治体に提供をやめさせる権限はなく、ずっとジレンマを抱えながら指導にあたってきた。新鮮だから菌は付いていないという誤った認識の店もある」と明かした。 全国の自治体の