菅直人首相は1月の内閣改造に当たり、「税と社会保障の一体改革」を目玉政策に掲げ、担当者として、「たちあがれ日本」を離党した与謝野馨氏を閣内に招き入れた。しかし与謝野氏を中心とする現状の議論は3つの致命的欠陥を持つ。これは財政至上主義を前面に打ち出した危険な政策であり、弱体化した日本経済に決定的なダメージを与えかねない。 ◆一体改革すべきは経済・財政 第一の欠陥はマクロ経済運営の視点が欠如していること。具体的には、デフレ克服と経済成長に向けた姿勢が欠如していることだ。本来必要なのは、税・社会保障の一体改革ではなく「経済・財政の一体改革」だ。税と社会保障は財政の一部分でしかない。 重要な事実がある。2003~07年の4年間に、基礎的財政赤字は22兆円改善した。小泉純一郎政権が歳出を増加させない政策をとる一方、経済を活性化して税の自然増収を実現できたからだ。つまり財政健全化の王道は、増税ではなく