始まりは旅立ちの場面だった。簡素な孤児院の庭で、他の子とは違う上品なドレスを身に纏った少女が、皆に別れを告げている。ダイアナは養女として貰われてゆく。その国第4位の資産を所有する、貴族ブラッドハーレーの家に。幸福に満ちた門出だ。それに選ばれるということは二重の意味を持つ。ひとつめは言わずもがな、資産家の娘になるということ。ふたつめは切符を手に入れたということだ。そういう噂があった。「ブラッドハーレー聖公女歌劇団」当主が主宰するその歌劇団は、子どもたちの羨望と憧憬の的。年に一度だけ、観ることのできるステージ。夢のような演出に、心躍らせない者はいない。いつかあの舞台に立てたら……と誰しもが願う。そんな豪奢で絢爛なオペラ。その演目の最後に、新人たちのお披露目がある。舞台に上がれるのは毎年たった数人の少女。彼女たちはすべて元孤児だという。そう、そこに立つ切符だ。ダイアナと輝かしい(はずの)その未来
ブラッドハーレーの馬車 (Fx COMICS)posted with amazlet at 09.09.24沙村 広明 太田出版 Amazon.co.jp で詳細を見る 感服した。 天を仰いだ。 残酷美という言葉がこれほど相応しい漫画もない。 そりゃあ、グロが嫌いな人に薦めようとは全く思わないけれど、はっきり言って、2007年に出た漫画の中でベスト1です。逆に言えば、エログロ描写に耐性のある人には是非とも読んでいただきたい漫画。 希望と絶望は絶対に共生することのない感情である。 だから、そのどちらかを深く立ち描こうとすれば、反対側を徹底的に描写するしかない。 また、その弓の弦が如き振幅に、人間の感情は強く揺り動かされるのだ。 だからこそ我々は、第六話ラスト、マフラーを固く引き締める少女の須臾の幸福感に涙腺を緩まさせられ(ここで、極寒の中に見出す少女の「暖かみ」の描写も小憎らしいほど巧い。こ
・1970年2月17日千葉県生まれ。 ・実家は船橋市夏見。←「涙のランチョン日記」の主人公の名前はここから。 ・手塚治虫、藤子不二夫、高橋留美子の作品を読んで漫画を好きになる。 ・小学校の時から漫画家になるのが夢だった。 ・妹がいて、家族の話では凜と似ているらしい(顔が似てるのか性格が似てるのかは不明)。 ・多摩美術大学・油絵科卒業。 ・美大を目指した理由は、漫研に絵の上手い人がたくさんいそうだから。 ・ペンを使ったのは大学に入ってから。 ・漫研の部長をつとめる。 ・学生時代は大友克洋の影響をモロに受けていた。 ・大学時代の漫研の先輩・冬目景から絵を学ぶ。ちなみに冬目景は「黒鉄<KUROGANE>」などの作品を描いている女性漫画家。 ・初めて描いた時代物は、谷崎潤一郎の「刺青」を漫画にした同人誌。 ・学祭で漫研の会誌を見た山田玲司(漫研OBの漫画家)に、モーニングか
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